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構造改革をどう生きるか

郵政民営化見直しに限っては麻生総理の発言は筋が通っている

 郵政事業の4分社化が決定したのは、米国からの圧力と考えるのが自然だろう。米国政府は日本政府への「年次改革要望書」において、一貫して郵便貯金と簡易保険の株式会社化と、全株式の放出を求めてきた。

 分かりやすくいえば、古い事業で手間がかかり、それでいてたいして儲けのない郵便事業に興味はないが、収益率が高く莫大な資産をかかえる郵貯と簡保がほしいというわけだ。なにしろ、郵貯には200兆円、簡保には100兆円という資産があり、合わせて300兆円もの金を動かせるのだから、その株主になるメリットは測り知れない。

 実際、郵政民営化に際しては、日本政府の郵政民営化準備室と米国政府や関係者との協議が2004年4月以降、計18回行われ、そのうち5回は米国の保険業界関係者との間であったことが明らかにされている。

 結局、何のための4分社化かといえば、米国に日本の国有資産運用を左右させることが目的だと勘繰られてもしかたがない。そして、米国に郵貯と簡保だけを売り渡すためには、まずいったんバラバラにしたうえで、うまみのある郵貯と簡保の株を全株放出する必要があるわけだ。

 だが、そういう経緯を国民はほとんど知らない。幸い、郵政民営化法案には、3年ごとに見直しをするという規定があるのだから、きちんと内容を国民に明らかにした上で見直し作業を進めるべきである。

 竹中平蔵氏は、「見直し作業は郵政民営化委員会が検討しているのだから、麻生総理が口を出すのはおかしい」というが、日本郵政の株式は今のところすべて国有である。それならば、国のトップである総理大臣が口をはさんで悪いことはないだろう。この問題に限っていえば、麻生総理の発言は筋が通っている。

 そもそも、あの郵政選挙では、郵政民営化の内容について慎重な議論が行われたとは、到底言えるものではない。確かに選挙によっていったんは決まって、それに沿って郵政民営化は進んだのだが、実際にやってみて不都合があれば修正していくのは、ごく自然な流れである。

 株式売却は当面凍結して、どういうやり方が国民にとって一番有利なのかを、冷静に考え直すべきときが来ているのではないか。

 確かに、以前のような親方日の丸の経営のままでは困るので、民間的な経営センスを取り入れることは賛成だ。だが、民営化したからといって放任状態にしたらどんなことになるか、それは前回書いた「かんぽの宿売却問題」をはじめとした「仲間うちの取引」で明らかになってきたのではないか。

 そして、地方には郵便局しか金融機関がない地域がいくらでもある。そんなところで、弱肉強食で営利を追求するだけでいいのかという問題もある。

 こうした問題をどう処理するのか、もう一度、知恵を寄せ合って結論を出すべきであろう。さもないと、郵政事業自体がかんぽの宿と同様に、食い物にされかねない。

 「じゃあ、お前はどう考えているんだ」と言われると、あくまでも個人的な意見だが、わたしは郵政公社の仕組みは、意外によくできていたなと感じている。こんなことを書くと、反動的だと非難されるかもしれないが、上記のようなもろもろの条件を受けたところの折衷案として、郵政省でも日本郵政株式会社でもない、郵政公社のような仕組みも一つの選択肢になるのではないだろうか。

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