第169回:
オバマへの熱狂の反動が怖い米国経済
経済アナリスト 森永 卓郎氏
2009年1月26日
1月20日、オバマ米大統領の就任式が行われた。テレビでご覧になった方も多いと思われるが、式典が行われた首都ワシントンは大変な盛り上がりようだった。4万人の警察官や軍隊が動員され、200万人を超える観衆のオバマコールはいつまでも止まなかった。
就任直前に行われたCNN/オピニオンリサーチ社の調査では、84%が「オバマ氏の政権移行を評価する」と回答。就任直後に行われたギャラップ社の調査によると、新大統領の支持率は68%で、J.F.ケネディ元大統領に次ぐ高いものになった。経済危機に直面している米国において、オバマ大統領への期待は並々ならぬものがある。
先日、『ルポ 貧困大国アメリカ』(岩波新書)の著者である堤未果さんとお話をする機会があったが、米国では高所得層から低所得層までの誰もが、現在の自分の苦境をオバマがチェンジしてくれると確信しているのだという。
確かに、オバマ大統領が打ち出している約75兆円の景気対策は、内容も金額も納得できるものばかりである。上げ底で75兆円と称している日本の対策とは比較にならない。
環境対策投資を推進するグリーン・ニューディール政策によって、環境をビジネスにつなげていく政策は正しいと思う。7兆円をかけて4600万人の医療保険未加入者をなくし、国民皆保険を実現しようとする政策もまた、現在の米国に必要なものだろう。
とはいえ、米国国民の大きな期待とは裏腹に、米国経済を立て直すことは容易ではない。オバマ大統領の就任式当日、ニューヨーク株式市場のダウ平均株価が300ドル以上も下落したことからも、新大統領の経済政策にマーケットが反応していないことは明らかである。
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