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構造改革をどう生きるか

悪質な経営者と社会保険事務所がグルになった横領事件

 厚生年金の保険料を滞納する企業が増えると、担当する社会保険事務所にとっては好ましくない。滞納が続出してしまうと成績にかかわってくるからだ。

 そこで何をするかというと、これまで明るみになった事例でみると、会社と社会保険事務所がグルになって標準報酬月額を偽装するわけだ。つまり、実際よりも給料を安いことにして、支払う額を減らしてしまうのである。

 そうすれば、会社にとっては納付額が減るので好ましいし、社会保険事務所にしても滞納がなくなって喜ばしい。そのとき、何年もさかのぼって標準報酬を引き下げてしまえば、会社にとっても楽だ。納めるべき保険料が減って、滞納一掃も可能になるからである。

 そうした事例が次々に明らかになったのである。

 一方、滞納している従業員分の保険料(もちろん、従業員はとうに払ったつもりでいる)も、標準報酬引き下げの分だけ支払額は少なくて済むが、それを従業員に還元することはない。保険料滞納の穴埋めに使われてしまうケースがほとんどだ。これでは、経営者による保険料の横領にほかならないではないか。

 すべての事例がグルであるとはいわないが、会社がそうした偽装をすれば、社会保険事務所で簡単にチェックできるはずである。少なくとも、見て見ぬふりがされてきたことは間違いないだろう。

 具体的に、厚生労働省が改ざんの手口として発表したのは次の3つである。

1.標準報酬引き下げと同日か翌日に厚生年金からの脱退処理が行われている
2.6カ月以上さかのぼって標準報酬の記録が変更されている
3.標準報酬が5等級以上引き下げられている

 1は、滞納を一掃したのちに厚生年金から国民年金に切り換えるという手口だ。国民年金にすれば企業の負担分はゼロで済む。企業経営者としては、きれいに逃げられるわけである。

 2も不自然である。標準報酬月額というのは、さきほども説明したように、4~6月の3カ月の給与から決められる。だから、よほどおかしなことがない限り、6カ月以上も過去にさかのぼって変わるはずがない。

 3がおかしいのは、そんなに給料が下がることはまずないということだ。わが国では労働条件の不利益変更が禁止されており、正社員の給料を勝手に下げてはいけないことになっている。しかも、30等級のうちの5等級も下がっているというのは、明らかに偽装の疑いが濃いというわけだ。

 これまで厚生労働省は、「標準報酬月額の改ざんが疑われる」事例として、6万9000件という数字をあげてきた。じつは、その件数というのは以上の3つの条件すべてを満たす記録なのである。

 本来ならば、この1~3の一つでも当てはまっていれば、かなりの確率で偽装があったと考えるのが一般的だろう。

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