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構造改革をどう生きるか

従業員の保険料を資金繰りにまわした経営者

 年金改ざんの手口を理解するためには、まず厚生年金の仕組みから知っておく必要がある。

 サラリーマンが毎月納める厚生年金の保険料は、標準報酬月額を決めるところからはじまる。標準報酬月額とは、毎月の給料の平均額と言い換えたいところだが、ちょっと違う。

 標準報酬月額は毎年7月に決められる。その方法というのは、まずその年の4~6月の3カ月間の平均給与を算出して、それを標準報酬月額表という表に照合する。その表では、標準報酬月額が30等級に区分されており、平均給与に一番近い標準報酬月額に決められる。例えば、平均給与が27万円以上29万円未満ならば第17等級の28万円、17万5000円以上18万5000未満ならば第11等級の18万円となるわけだ。

 そして、厚生年金の保険料は、その標準報酬月額に保険料率(今年は15.35%)を掛けて算出する。

 そんな面倒なことをするくらいならば、平均給与にそのまま保険料率をかけて保険料を決めたほうが早いのではないかと誰もが思うだろう。

 なぜ、わざわざ30等級に分けているのかといえば、そろばんを使っていた名残なのだ。そろばんというのは、足し算、引き算にくらべて、掛け算が苦手である。少なくともスピードは遅くなる。だが、30等級に単純化して標準報酬月額表と照合すれば、30段階それぞれについて、すでに保険料率を掛けた答えが一覧表になっているので、掛け算をしないで済むというわけだ。

 コンピューターがこれだけ普及した現代において、いまだにこんな時代遅れなことをしているのはどうかと思うが、これは今回のテーマとは関係ないので、このくらいにしておこう。

 保険料の支払いでミソなのが、従業員と会社が保険料を折半して払うことになっている点だ。例えば、月給が30万円の従業員の場合、会社と本人は、それぞれ約2万3000円ずつ保険料を負担することになる。つまり、同じ30万円の月給の従業員が10人いる会社ならば、会社は毎月23万円も厚生年金保険料の企業負担分を払うことになる。

 それだけではない。従業員の負担分といっても、それを従業員が直接支払うわけではない。給与から天引きされているわけで、実際に納付しているのは会社なのである。簡単にいえば、企業が従業員分と会社分をまとめて支払っているというわけだ。となると、上記の例の場合、一人あたり4万6000円、10人で46万円を払う形になる。

 経営が苦しい中小企業にとって、この金額は大きい。この支払を回避して、資金繰りにまわせないものかと経営者が考えても不思議ではない。そうして、保険料を滞納する企業が出てくるわけだ。

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