第159回
メディアは年金改ざん問題をもっと追及すべき
経済アナリスト 森永 卓郎氏
2008年11月10日
どうやら解散・総選挙は遠のいたようだが、政局一色だった報道の陰で、サラリーマンにとって非常に重大な問題が、うやむやにされそうになっている。それは、年金の標準報酬が改ざんされていたという、いわゆる「年金改ざん問題」だ。
これは、経営に行き詰まった経営者が、本来納めなければならない厚生年金の保険料を不当に免れたり、従業員の給料から天引きされたはずの保険料を企業が懐に入れたりしたもので、一種の横領事件である。しかも、そうした企業に対して、社会保険事務所が手引きをしていたことが明らかになっている。
早い話が、自分が当然払ってきたと信じていた年金が、悪質な経営者と社会保険事務所によって勝手に減らされているのである。こんなばかなことがあるだろうか。
年金問題というと、昨年大騒ぎになった「宙に浮いた5000万件」を思い浮かべる方も多いだろうが、今回の改ざん問題はそれよりもはるかに悪質だ。
宙に浮いた5000万件の原因は、何よりも管理がずさんだったことにあった。もちろん、許されるべきことではないが、あくまでも過失の範囲であるといってよい。だが、今回の改ざん問題は明らかに意図的に行われているという点で、比べものにならないほど犯罪性が強い。
しかも、改ざんの行われた件数が、これまで厚生労働省が発表してきた6万9000件を大きく上回り、100万件というとんでもない数である可能性が高まってきたのだ。
なぜ、この問題をメディアがもっと取り上げないのか、なぜ大騒ぎされないのか、わたしは不思議で仕方がないのである。
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