追加経済対策はもっと思い切ってやってほしかった
さて、10月30日に発表になった追加経済対策である。事業規模は約27兆円で、「真水」といわれる実質的な財政支出を伴う部分は約5兆円となった。
この規模と内容を第一次の緊急総合対策と比べると(3年後の消費税増税という話は別として)、少なくとも国民生活の視点が入ってきたという点で、ずいぶんよくなったと思う。
定額減税でなく、定額給付としたことで、納税額の小さい低所得層にも恩恵が出たことは歓迎したい。また、雇用保険料の引き下げ、高速道路料金の大幅な引き下げなど、生活にも配慮したものとなっている点は評価できる。
前日の29日に時価会計の見直しを検討するよう麻生総理が指示を出したことについても、米国から押し付けられた制度を見直すという点で、新自由主義からの脱却の弟一歩として評価したい。
ただ、住宅ローン減税を過去最大にするというのは、大きな借金ができる状況にない一般庶民には縁遠いものであり、また省エネ投資減税という投資側の減税にも賛成できない。いま困っているのは金持ちではなく庶民であり、不足しているのは供給ではなく需要なのだということを認識してほしいのだ。
その点でいえば、定額給付の規模はまだ不十分であり、高速道路の料金割引を複雑なものにしたことは評価できない。どうせやるなら、もっと思い切った対策が必要だったのではないか。赤字国債発行に踏み切る勇気がなかったことは、せっかく実施する景気対策の効果を小さくしてしまうことだろう。
懸命にがんばったが、まだまだ麻生総理は本当に苦しんでいる庶民のことを、実感として理解できていないのだろう。人間というのは、自分の周囲の環境からしかものごとを判断できないものである。渋谷区の何百坪という超豪邸に住み、おじいちゃんの真似をして葉巻をくゆらせている超セレブに、庶民の苦しみを実感してもらうのは難しいのかもしれない。
さて、最後に1つの事件に触れておきたい。10月26日、市民団体の企画によって「リアリティツアー 62億ってどんなだよ。麻生首相のお宅拝見!」という行進が実施されたのだが、そこで3名の参加者が逮捕されるという事件が起きた。
報道では、無届けでデモをしたために逮捕されたということになっているが、支援者が撮影したビデオを見る限りでは、彼らは警察の指導に従って歩道を歩き、横断歩道を渡っているだけである。もちろん、暴力行為もしていなければ、シュプレヒコールをあげているわけでもない。ただ、麻生総理の家に向かって行進していただけなのである。
もちろん、わたしはこの逮捕を麻生総理が指揮したと思っているわけではない。しかし、総理がこの逮捕を非難することもなければ、逮捕された市民を救い出そうとしていないのも確かだ。
いやしくも日本は民主主義国家である。権力が言論の自由を抑圧しようとすることは絶対に許されるものではない。もし、こんなことがまかり通るようであれば、日本は中国のことを批判できないではないか。また、この問題をまったく追及しようとしないメディアにも大きな問題があるとわたしは考えている。
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