第158回
庶民の実感を想像できない麻生総理
経済アナリスト 森永 卓郎氏
2008年10月31日
10月26日、麻生太郎総理が秋葉原で街頭演説会を行った。「秋葉原に来ると元気がでる」と言い、総理大臣になってからは街を歩きにくくなったと発言したと報道では伝えられている。
世の中では、「麻生総理はアキバ系」という伝説がつくられ、それを信じている人が多いようだが、はたして本当なのだろうか。
わたしは「日本メイド協会」という団体の理事を務めているのだが、周囲の誰に聞いても、麻生総理がメイド喫茶に立ち寄ったという情報はない。ちなみに、この団体はメイドの普及と情操教育を目的に設立された国内唯一のメイド関連事業者の団体であり、検定試験まで設けられている極めてまじめな団体である。
メイド喫茶だけではない。コスプレショップやフィギュアのショップに来た形跡もない。そもそも本当に秋葉原に来ていたのだろうか。いくら総理大臣になる前であっても、あそこまで有名な人なのだから、普段秋葉原に来ていれば、顔を見たという話を聞いてもおかしくないのだが、それもない。
結局、麻生総理が秋葉原に来たのは遊説のときだけのようなのだ。オタクの味方というのも怪しい。すべては選挙のためのイメージ戦略としか思えないのである。
わたしは政治家を出自で云々するのは好きではないが、結局のところ、麻生総理は都心の一等地の豪邸に住み、優雅な暮らしを続けてきたというのが真の姿ではないのか。もちろん、豪邸に住もうが、高級レストランで食事をしようが、ホテルのバーで高い酒を飲もうが、庶民の気持ちを理解できるだけの想像力があればいい。だが、数々の言動を見ていると、どうもそうした想像力に欠けているような気がしてならないのだ。
ところで、この原稿をまとめている間に、追加の経済対策が発表になった。せっぱつまった金融危機や公明党のプレッシャーもあったのだろう。最低限のレベルはクリアした内容となったようだ。だが、これで景気対策が終わりというわけではない。今後も難しい景気の舵取りが必要とされるなかで、庶民の生活実態を理解しているとは思えない麻生総理が、的確な対策を打っていけるのか、わたしは心配でならないのである。
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