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構造改革をどう生きるか

第154回
今まさに瓦解する市場原理主義

経済アナリスト 森永 卓郎氏
2008年10月6日

 9月15日、米国のリーマン・ブラザーズ証券が経営破綻した。158年の歴史を持ち、全米第4位の証券会社が姿を消すことになったわけだ。

 同時に、全米第3位のメリルリンチも、バンク・オブ・アメリカに買収された。半年前に破綻した全米第5位のべアー・スターンズを加えると、米国の第3位から5位までの証券会社が、わずか半年の間に消えるという異常事態が起こったのである。

 そして、証券第2位のモルガン・スタンレーも、三菱UFJフィナンシャル・グループから1兆円近い出資を受けることになった。

 米国では、最大7000億ドル(約73兆円)の不良資産を金融機関から買い取るとする金融安定化法案をようやく可決したが、サブプライムローンに端を発した金融危機はまだまだ終息しそうにない。

 これまで、米国の金融機関自らが処理した金額は30兆円程度。今回の法律で米国政府は70兆円以上の不良債権の買い取りを実施するのだから、あわせて約100兆円。この金額は、米国の金融機関の総損失に匹敵する。これで、サブプライムローンの処理が終わり、米国内の金融危機は峠を越えたと言ってもおかしくないはずだ。

 だが、今回の金融危機の根はもっと深いところにある。米国型の金融システムが作り上げてきた信用バブルが、まさに崩壊しようとしているのである。サブプライムローン問題は、あくまでもきっかけに過ぎなかったのだ。

 いま、時代は大きく変わろうとしている。ここ30年間、世界を席巻してきた弱肉強食の新自由主義、市場原理主義、行き過ぎた金融資本主義が、いままさに瓦解しようとしている現場にわたしたちは立ち会っているのである。

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