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構造改革をどう生きるか

『労働経済白書』の記述がパラダイム転換の象徴

 パラダイムが転換するとき、その渦中にある人びとはなかなかそれに気づかないものだ。むしろ、あとになって、あれが転換点だったのだと思い返すことが多い。

 わたしが興味深く感じたのは、先日発表された『経済白書』と『労働経済白書』である。前者が経済産業省、後者が厚生労働省によるものだが、その中身がまるで対照的だったのだ。

 すでにメディアで大きく取り上げられたので、ご存じの方も多いと思うが、『経済白書』では、この不況を乗り切るためには、もう一度思い切ったリストラをして、日本経済の転換を図るべきだとした。

 一方、『労働経済白書』では、いままでやってきた弱肉強食の経営は失敗であり、もう一度終身雇用、年功序列に戻して、安定した日本の経済を取り戻すべきとした。

 明らかに閣内不統一ではあるが、わたしは『労働経済白書』のほうが正しいと考える。そして、『労働経済白書』の記述が、ある意味でパラダイム転換の象徴なのではないかと思うのだ。

 かつての日本経済に構造的な問題があると言われたのは、バブル崩壊後のことである。従来の日本のシステムでは駄目ということで、延々と30年近く変化を求めてきたのだ。今度は、米国が経済構造の見直しに入る番ではないか。

 もちろん、30年間にわたる日本の変化がまったく無意味だったと言うつもりはない。かつての終身雇用、年功序列に問題があったことは確かである。だが、現在は、あまりにも新自由主義的な弱肉強食が行き過ぎているのではないか。

 そして、米国を追ってきた中国もまた、同じことになるのではないか。米国と違ってものづくりの基盤はあるものの、やはり金融資本主義のバブルであることは疑いない。

 日本でもオリンピックの翌年に昭和40年不況がやってきたように、オリンピック後は深刻な事態に陥るだろうと思う。

 昨年秋には上海株が大暴落しているが、東京オリンピックの際にも同じように前年から株価が下がっていた。考えてみれば当然のことで、オリンピックの経済効果は建設中に現われるものなのである。高速道路や高速鉄道の建設、ビルや住宅の建設など、オリンピックの準備中は活況に湧くが、オリンピックが開幕するころには完全にそれが止まる。株価というものは先を読み込んで形成されるので、前年秋に落ちるのはきわめて合理的なのである。

 ただし、中国の場合には、2年後に上海万博があるというのがポイントだろう。日本の場合は大阪万博まで6年の空きがあり、その間に「いざなぎ景気」と呼ばれる景気拡大があった。

 中国ではその間が日本より詰まっているのが、はたしてどういう結果になるのか、わたしには分からない。だが、いずれにしても、米国、中国の経済がかなりガタつくことは間違いないだろう。そして、その引き金を引くのが原油暴落なのである。

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