第147回
原油バブル崩壊で経済のパラダイムが変わる
経済アナリスト 森永 卓郎氏
2008年8月25日
前回のコラムでわたしは、原油価格が近い将来、劇的に暴落する事態が起きるだろうと書いた。では、原油価格が大暴落したのちに何が起きるのか。今回はこの点について述べよう。
去る7月25日に、6月の全国消費者物価指数(生鮮食料品を除く)が発表となった。それによると、前年同月比1.9%の上昇と、15年半ぶりの高い上昇率である。
その後も、8月に入ってからは、卵、チーズ、ハム・ソーセージ、冷凍食品などが次々に値上げされ、10月には小麦粉の政府売り渡し価格が20%引き上げられる予定となっている。電気料金も9月に改定があり、さらに来年1月からは一世帯あたり平均800円(東京電力の場合)の大幅な値上げが見込まれている。
この調子でいくと、年内には消費者物価上昇率が3%台に乗るというシンクタンクの予想も出てきた。3%台というのは、バブル最盛期の上昇率である。
この大きな原因は、言うまでもなく原油価格や穀物価格の高騰である。こうした資源高の影響は、企業レベルではすでに大きく受けてきた。現に、6月の国内企業物価指数(旧卸売物価指数)の上昇率は5.6%に達している。
だが、その上昇を製品価格に転嫁すると需要が落ち込んでしまうために、企業は値上げを抑え込んできたのである。だが、ここにきて消費者物価が急上昇したということは、企業の我慢が限界にきたことを意味するのだろう。
一方、厚生労働省の毎月勤労統計調査によると、賃金の上昇率が、2、3月は前年比1.5%上昇だったものが、4、5月で0.8%、6月には0.4%とどんどんと下がっている。資源高をなかなか価格に転嫁できないため、企業の粗利が上がらずに、賃金を抑制しているからだ。
今や、わが国の家計は、賃金低下のなかでの高い物価上昇という、これまで経験したことのない厳しい環境に置かれている。はたして、この状況はいつまで続くのか。
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