現在の不動産不況も似たような構造
冷静になって考えてみれば、この三者の責任は極めて重いことがお分かりになるだろう。ところが、残念なことに、こうした権力者たちへの責任追及は一切行なわれていないのだ。それはなぜか。最大の問題は、事件の構造が見えにくいことにある。
長銀に不良債権がでたから長銀の経営者が悪いというのは、単純な論理で誰にでも分かりやすい。しかし、政治家や大蔵省、日銀が悪いというのは、経済のメカニズムが分かっていないと理解できない。どうして悪いのか納得できないのである。それどころか、国民が銀行に対して腹を立てているときに、大蔵省が「不良債権の認定基準を厳格化した」というと、まるで正義の行動のように思えてしまうのだ。
なにもわたしは、当時の政治家、大蔵官僚、日銀幹部を片っ端から裁判にかけろと言っているわけではない。大切なのは、二度と同じことを繰り返さないように、事件の詳細を精査して反省することである。だが、メディアが指摘しないのをいいことに、どうにも反省が見られない。
昨今の不動産不況も似たような構造である。ここにきて、日銀は当座預金をものすごい勢いで絞っており、不動産業者に対する銀行の融資は非常に厳しくなっている。どうやら、金融庁がミニバブルによる地価高騰を抑えるために、銀行に不動産融資を厳格化するよう行政指導をしたようだ。
だが、不動産業者というのは、大量の資金を投入して土地を仕入れ、マンションを建てたのち、それを売った時点でないと金が入ってこない。その途中で資金を止められたら倒産するに決まっているではないか。
バブル時代のような地価高騰が起きたら大変だが、だからといって融資を厳格化をすれば済むというものではない。かつての不良債権の反省を踏まえていないというのが、いまの不動産不況をますます激しくする原因となっている気がしてならないのだ。
メディアも今回の最高裁判決について表面的なことを伝えるだけでなく、その一歩先まで論じるべきではないかと思うのだ。
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