アニメを通じて中国の若者と仲良くなれる
日本のコミケに負けない熱気の会場
実はこの上海訪問は経済調査が目的ではなく、上海アニメフェスティバルのトークイベントに出席するためだった。
上海のアニメの盛り上がりぶりには驚く。来場者は20代の若者が中心で、60人ほどしか座れないトークイベントの会場は立ち見客で満杯になった。
中国では私の知名度などないと思っていたが、イベントが終わると、写真やサイン、握手を求めて私の前に行列ができたのには驚いた。聞いてみると、日経ネットに連載中の『萌えるアキバが日本を変える』を翻訳ソフトで読んでいるという。
外交的には日中首脳会談も絶望的で冷え込んでいるが、アニメを通じて私は中国人と大の仲良しになった。彼らは日本のアニメを熱心に見ているので、日本語をしゃべる若者も多く、日本への関心が高い。
アニメのキャラクターに扮するコスプレも大好きで、衣装を自分たちで作り、一種の演劇として楽しんでいた。会場には日本からコスプレーヤーの寿桜(ことぶきさくら)さんも招待されたが、彼女が「新世紀エヴァンゲリオン」の惣流・アスカ・ラングレーのコスプレで登場すると、中国人オタクが「アスカー!!」と叫んだという。
上海のコスプレーヤーは美女ぞろい
このときこそ、上海で中国初の“萌えオタク”が誕生した瞬間だったのではないだろうか(笑)。
実は私は昨年4月、上海の日本総領事館に中国人デモ隊が投石したときも、すぐそばにいた。しかし、中国のアニメオタクたちに白い目で見られることもなく、やはり仲良く語り合っていた。30代以下の若者とならばアニメを通じて仲良くなれるのだ。いわば、「萌えオタクが日中を救う」のである。
上海の人民公園の近くには“萌えショップ”の並ぶ通りがあるが、そこには私よりもアニメやゲームに詳しい中国人オタクたちが集まっている。そこに行くと、時間がたつのも忘れるほどだ。私はひと言も中国語がしゃべれないが、筆談でコミュニケーションできる。趣味を同じくする同士の強みだ。
なんと「電車男」のコスプレまで登場
ただし、海賊版が横行しているのは困りものだ。プレイステーションでゲームを楽しんでいる若者に聞くと、ゲームソフトも1枚だけは正規の品を買うが、後は海賊版だという。「それじゃ、日本は機械しか売れないではないか」というと、「実は機械も海賊版なんだ」というからあきれてしまった。
音楽も海賊版が当たり前。CD1枚が20~30円で売っているから、すぐ分かる。さすがに私が海賊版を買うのはまずいだろうと思って、わざわざ500円を出して、著作権の許諾表示がある“本物”を買い、帰国して早速、プレーヤーにかけようとケースから取り出したら、真ん中のツメがバリッと割れてしまった。中国ではいったい何が本物で何か偽物なのか、分からないのがおそろしい。
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