第139回
赤字の公営施設はただ潰せばいいのか
経済アナリスト 森永 卓郎氏
2008年6月30日
京都府の精華町と木津川市の境界に、「私のしごと館」という職業訓練施設がある。関西文化学術研究都市(学研都市)の精華・西木津地区にある独立行政法人「雇用・能力開発機構」が運営しているものだ。
交通はかなり不便で、大阪、京都の中心部から、どちらも1時間くらいかかる。東京でいえば、筑波学園都市のような場所に建っているものと考えてもらえればいい。
この「私のしごと館」は、明らかなバブルの遺産である。2003年に581億円をかけて建設されたもので、全長200メートル、3万5000平方メートルという巨大な建造物。わたしは初めてこの建物を見たときに、すぐに戦艦大和を連想した。
ご多分にもれず、この「私のしごと館」は大幅な赤字を出しており、その額は毎年十数億円。2006年度決算では14億7700万円であった。運営交付金は事業主負担のみの雇用保険料、いわゆる「雇用保険2事業」から出ているが、これをどうするかが大きな問題となっているのだ。
もちろん、同じものを新しくつくるというならば、日本国民のほぼ全員が「無駄遣い」として反対するだろう。だが問題は、すでにそこに存在していることだ。できたものを壊すのも無駄であり、やはりそれには金がかかる。
では、この「私のしごと館」をどうすべきか。
渡辺喜美行革担当大臣は、雇用・能力開発機構改革のシンボルとして、一貫して廃止を主張。一方、政府は形を変えて存続することを模索してる。
そこで昨年12月、特殊法人の整理合理化計画のもと、運営を民間に委託する方向を示しつつ、有識者会議によって1年以内に存廃を含めた結論を出すという妥協が成立した。
そして、わたし森永卓郎がその有識者会議のメンバーの一人になったのである。おかげで、単に外から見ているのとは違い、いろいろなものが見えてきた。
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