第138回
たばこ1箱1000円にすれば財政問題は解決するのか
経済アナリスト 森永 卓郎氏
2008年6月23日
ここに来て、過激なたばこ増税論があちこちから噴出してきた。
一つのきっかけは、日本財団笹川陽平会長が、2008年3月からブログなどで発信している「1箱約300円という日本のたばこの値段は安すぎる」という主張であると思われる。
笹川氏によれば、1箱1000円にすれば9兆5000億円の税収増が見込めるという。値上げによって消費量が3分の1に減っても3兆円を超える税収増となる。そこで、社会保障の財源として消費税より先に議論すべきだというわけだ。さらに、値段が上がれば禁煙をする人が増えて健康被害が減り、医療費削減にもつながるというのが氏の主張である。
だが、この試算は本当に信用できるのだろうか。
たばこの値上げについては政界からも賛同する声が多い。超党派の「禁煙推進議員連盟」に属する有志議員の活動も再開されたようだ。
しかし、たばこに対する増税は、ここ20年間で頻繁に繰り返されてきた。1997年の消費税増税、1998年のたばこ特別税創設、2003年と2006年のたばこ税増税である。
昨今の嫌煙運動の盛り上がりのなか、愛煙家は肩身の狭い思いをしている。それをいいことに、取りやすいところから取ろうというのだろうが、あまりにも安直に過ぎないか。
百歩も千歩も譲って、本当にたばこ増税が財政再建や医療費削減につながるのならまだしも、本当にそうした皮算用が成り立つのか、わたしには疑問に思えてならない。
そこで、1日2箱のたばこを消費するわたしが、さまざまな角度から試算をして、たばこ増税の是非を論じてみたいと思う。
以下、嫌煙家の方々からしてみれば、愛煙家の暴論、世迷い言と見えるかもしれないが、我慢して最後まで冷静に読んでいただければ幸いである。
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