むき出しの闘志でサブプライムローン問題に立ち向かった米国
あれほど深刻と思われたサププライムローン問題で、なぜ米国の傷がこれで済んだのだろうか。米国の景気の底割れを防いだ理由は、金融不安の収まりだけではない。何よりも、速やかに経済対策を実行したからにほかならない。
この点については、「第129回 日本が経済無策のまま景気後退を続ける理由」でも触れたが、その時点での対策にとどまらず、さらに米国は追加的な措置を行なった。
減税規模は当初1500億ドルといわれていたが、個人を対象にした戻し税と企業減税を合わせて、これまでに1680億ドル近くに達している。
このうち、個人を対象にした戻し税による減税が1000億ドルを占めているが、ブッシュ大統領はその減税の開始時期を、当初の5月2日から4月28日に前倒ししている。
日本の経済規模は米国の約3分の1であるから、日本に当てはめてみると6兆円近い規模の減税を速やかに実行したことに相当する。
金融対策も同様だ、FRB(米連邦準備理事会)は今年に入ってから1月22日に0.75%、1月30日には0.5%と、立て続けに利下げを実施した。さらに、3月18日には0.75%、そして4月30日には0.25%の引き下げを実施した。結局、この4カ月間で2.25%、昨年秋からの累積では3.25%も金利を下げたことになる。
もちろん、急速な利下げには弊害もある。だが、問題は何を優先するかだ。何よりも避けるべきなのは経済の失速なのであり、それを防ぐために米国はなりふり構わず、あらゆる対策を実行したのである。その結果の景気底割れ回避なのだ。そういう事実を、なぜ日本の新聞は報道しないのか。
つくづく日本の新聞は、ケインズ経済学、マクロ経済政策論が嫌いらしい。金融緩和や財政出動で経済が立ち直るのを見ても、信じたくもないし、報道したくもないというのが本音なのだろう。
繰り返すが、サププライムローン問題は、米国にとって非常に厳しいショックであった。しかし、それに対して、やれることはなんでもやるという、むき出しの闘志を発揮して立ち向かった。その結果、少なくとも現時点で株価がもとの水準に戻ったというのは、米国の底力を感じさせる。
あなたのご意見をコメントやトラックバックでお寄せください
この連載のバックナンバー
- 漢字は読めなくても政局が読める麻生総理のすごい能力 (2009/05/07)
- 似ているようで全く異なる与党と民主党の景気対策 (2009/04/28)
- 3月に景気が底入れしたと考えるいくつかの根拠 (2009/04/21)
- なぜ誰もデフレの危機を叫ばないのか (2009/04/14)
- 複雑怪奇な平日の高速道路料金に隠された陰謀 (2009/04/07)

