歯科医を医師にするアイデアが実現しない理由
医師の数を増やすもう一つの裏技がある。これは、ある医療経済学者の主張なのだが、歯科医に医療活動をさせるというものだ。
現在、医師と比べて歯科医は数が余っているのが実情だ。一部には夜逃げをする歯科医まであると聞く。
これを医師に転換するというアイデアである。歯科医は大学で6年間勉強しているから、医療についての知識は当然持ち合わせている。少なくとも、一般の医療活動ならば十分にできる。
なかでも麻酔ならばお手のものだ。病院での麻酔医の不足が大きな問題となっているなか、日常的に麻酔を使っている歯科医は貴重な存在である。麻酔医を増やすためのコストがほとんどかからないので、確実に医療費の削減につながる。
そして言うまでもなく、歯科医も消毒はするし手術もする。やっていることは医師と同じなのだ。耳鼻科医が医師であるのは、頭に近いデリケートな部分にかかわる医療をするからだろう。ならば、歯科医も医師であって悪いことはどこにもない。いますぐ、歯医者も医者をしていいという法律を定めれば、医師不足や医療コストの問題は解決するのだ。
歯科医を医師にせよという意見は、いままでにもあった。だが、残念ながら厚生労働省に門前払いにされ、検討さえされていない。その理由は見当がつく。日本医師会が自民党の有力な支援団体だからだろう。なんだかんだいっても、医師会は自分たちの利権を守ろうとしており、その意向に政府・与党は逆らうことができないのである。
もちろん、勤務医で劣悪な労働条件で働く医師もいるが、法外な報酬を得ている開業医も少なくない。そうした利権に切り込まなければ、医療費の抑制はありえない。それを実現するには、強力な政治家のリーダーシップが必要なのだが、残念ながらいまそれをやろうとする政治家は日本にはほとんどいない。
その結果、取りやすいところから金をとろうとして医療費が上がるわけだ。医療費を上げても、デモもストライキもやらないおとなしい国民だから、政治家にとってこんな楽なものはない。問題は、次の総選挙の一票で意思表示できるかどうかである。
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