医療費が増えているのに医療サービスが低下する矛盾
本題に入る前に、後期高齢者医療保険制度にともなう負担の問題について、もう少し詳しく説明しておこう。
負担が増えるのは高齢者だけと思っている人も多いかもしれないが(それはそれでもちろん大問題ではあるが)、一般のサラリーマンもまた、この制度で厳しい状況に置かれていることを知っておいてほしい。
健康保険組合連合会がまとめた2008年度予算の推計によると、健保組合全体の経常赤字が6322億円と、前年よりも3924億円も増えることが明らかになった。
その理由として、後期高齢者医療制度への支援金が1兆1256億円、前期高齢者医療制度への納付金が1兆501億円など、老人医療への拠出金が前年度よりも22%も増加して2兆8423億円となることが挙げられている。
そのため、健康保険組合連合会の調査に回答のあった1285の健保組合のうち、141の組合が保険料を引き上げるという。厳しい所得環境のなかで、サラリーマンの手取りがまた減るわけだ。高齢者だけでなく、現役世代の暮らしもさらに追い詰められることになりそうだ。
しかも、冒頭で述べたように毎年1兆円も医療費が増大するのだから、負担増はやむを得ないというのが政府・与党の立場である。
しかし、冷静になって考えてみると、これだけ毎年医療費が増えているにもかかわらず、医療の内容がよくなっていないのは不思議である。確かに先端医療の技術は進歩しているのかもしれないが、ごく一般の診療を見る限り、病院はどこも大混雑。さんざん待たされたあげく、5分しか診てもらえないというのが実情である。
支払いは増えているのにサービスが低下している。これはどう考えても納得できない。医療費増大の原因は本当に高齢化だけが原因なのか。医療のコスト構造自体も、じっくりと検討すべきときに来ているのではないだろうか。
医療コスト削減策を何も考えずに、ただ医療費を増やすだけという方法で対処していけば、遅かれ早かれ日本の医療制度はパンクすることは間違いない。
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