残された道は「安楽死」か「普通の銀行への転換」の二つ
日本の銀行による不動産担保融資に対して、批判する人は多い。しかし、考えてみれば、これは世界最強のビジネスモデルでもある。
というのも、銀行業というのは預金を預金者から預かり、元本保証で返さなくてはならない商売だからである。そうした事業をしている限り、資金運用において高いリスクをとってはならない。リスクが悪いほうにでたら、元本保証で預金を返せないからだ。
そもそも、リスクの高い、いわばイチかバチかの資金というのは、銀行のような間接金融が担うべきものではなく、株式や債券の取引のような直接金融が担うべきものである。
銀行の預金者にしても、そんなイチかバチかの勝負は期待していないだろう。そこをはき違えて、まったくパイのないところに、まるでユートピアがあると信じ込んで突っ込んでいったのは、石原都知事の責任でもあるし、メディアの責任でもあるとわたしは思う。
なにしろ、当時のメディアは、ミドルリスク・ミドルリターンをとる新銀行東京の登場に拍手喝采し、あたかも中小企業の救世主のように賛美していたのである。それが、ここに来て、手のひらを返すように、東京都や石原知事を袋叩きにしているのはいかがなものか。メディアも同罪なのであり、まったく反省がないとしかいいようがない。
さて、今回追加出資する400億円であるが、これは現に新銀行東京に資金を借りている企業がある以上、やむを得ない措置なのかもしれない。確かに、いきなり新銀行東京を潰してしまうと、借り手は闇金に走るしかなく、バタバタと倒産が続出することが予想される。
ただ、追加出資を機に審査システムを改善するくらいで、新銀行東京が復活するかといえば、それは絶望的である。繰り返すが、ミドルリスク・ミドルリターンというマーケットがほとんど存在しないのだから、どうしようもない。
残された道は二つである。一つは、新銀行東京を安楽死させる方法。もう一つは、一般の銀行に衣替えさせる方法である。現に、貸出先の比重は中小企業から大企業に移りつつあるので、それをさらに推し進めていくわけである。つまり、優良な企業に低利で貸し出す、ローリスク・ローリターンに方針転換するのだ。
逆に言えば、「新銀行東京は、けっして中小企業の味方ではありません。今後は金をかせぐための普通の銀行に変えていきます」と宣言をしない限り、400億円はまた無駄になるだろう。
400億円という金は、国のレベルで見ればたいしたことはないかもしれないが、当初の1000億円と合わせると1400億円に達する。これは、1280万人の東京都民1人あたり、1万円以上の税金を使った計算になる。
それがいいことに使われるならまだしも、いったいどこに消えてしまったのか。おそらく、破綻した2345社のなかには、借りる前から自分でもダメだと思っていた人も多かっただろう。そうした「目先の金」に貴重な税金がつぎ込まれてしまったのである。
400億円の追加出資はどうやら決まりのようだが、野党のみならず与党も、10〜15%で貸し出してきた意味を厳しく問いただすべきだろう。そんな利率で一般の中小企業が金をまわすことなど不可能であることくらい、都議会議員ならわかっていると思うのだが。
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