民主党は「財務省はダメ」ならば「日銀もダメ」と言うべき
安定した物価目標が、具体的に何%と示されれば、国民にとってのメリットは大きい。将来にわたっての物価上昇率の見当がつくのだから、家を買うにしても設備投資をするにしても計画が立てやすい。たとえば、物価が年3%上がりそうで、金利が年3%ならば実質ゼロで借りられると見当がつくわけだ。こうなれば、消費者も投資家も正確に判断できる。
恐いのは、将来の経済状況がまったくわからないことだ。とんでもないインフレになっては、せっかくの預金が吹っ飛んでしまう。デフレになっては投資をしても大損してしまう。もちろん、経済にはさまざまなハプニングはつきものだが、それでもある程度の見通しがあれば積極的な経済活動ができるというものだ。
ところが、これまで日銀はなんといってきたか。今回、副総裁として衆参両院で同意された白川氏を含めて、「目標を示せば、金融政策の自由度がしばられる」と述べているのだ。
これはとんでもない話である。日銀にとって最大の仕事は、物価をどう安定させて、経済を活発化させるかではないのか。その目標を示せないというのは、結果が悪かったときの責任逃れをしているとしか思えない。たとえてみれば、小学生が「親に怒られたくないから、通信簿はいやだ」といっているに等しい。
物価安定目標をきちんと公開すれば、経済の円滑な成長につながる。結果がダメだったら、責任をとらせてクビにして、もっと適任の人を任命する。それが当然の社会のしくみというものではないのか。にもかかわらず、日銀は物価上昇の目標を明らかにしてこなかった。
「独立性」と金科玉条のように言うが、そんなことをいって目標を定めないから、むしろ政治の介入を受けてしまうのだ。物価上昇率の目標をきちんと示しておけば、その目標を達成している限り、介入を受ける筋合いはなくなるのである。
民主党は、「財務省はダメ」というならば「日銀もダメ」と言うべきだ。そして、公正中立な、本当に国民のためを思ってくれる人を総裁に選ぶべきである。
わたし自身の意見としては、今回の政府案に対して、3人の顔ぶれ自体はこれでも悪くなかったと思う。そして、副総裁の一人には財務省出身の武藤敏郎氏を留任させ、もう一人は日銀出身の白川方明氏とする。この二人が、それぞれの立場を主張して、侃々諤々の議論をすればいい。それを、比較的中立な立場で、東大大学院教授の伊藤氏が総裁として裁定するという形にすればよかったと思うのだが。
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