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構造改革をどう生きるか

経済弱肉強食主義、構造改革は必ず行き詰まる

 第三は、論功行賞だ。

 信長は、対抗勢力を打ち破った功労者に、新たな支配権を与えることで、大名たちの忠誠心を獲得した。構造改革派が、民営化した企業のトップに仲間を据えたり、不良債権処理で出てきた資産を二束三文でハゲタカに売り渡したりするのと同じやり方だ。

 ただ、こうしたやり方は全国統一――すなわちフロンティアの喪失とともに行き詰まる。分け与える領地がなくなってしまったからだ。

 それでは、大名たちをつなぎとめることはできないので、新しいフロンティアを求めることになる。信長の後を継いだ秀吉が、朝鮮出兵という無理をしたのも、新しいフロンティアを求めようとしたからに他ならない。

 構造改革派も同様である。道路公団や郵政を民営化した時点で、新たに論功行賞を与えるネタがなくなってしまった。また、不良債権処理が終わったとこで、マネーの行き場がなくなってしまった。

 独立法人改革などといって、無理やりフロンティアをつくろうとしているが、既に特殊法人から独立行政法人に変えてしまっているから、改革の余地は少ない。

 先日、いくつかの独立法人廃止を打ち上げたが、いかにもアリバイづくりといった様相で、対象になっているのはどれも小さなものばかり。道路公団、郵政のように、国民を盛り上げるようなフロンティアはもう残っていないのだ。

 こうしたフロンティアの消滅とともに、経済弱肉強食主義、構造改革はブームに陰りがでてきていることは間違いない。早晩、行き詰まることだろう。

 奇しくも、それと歩調を合わせるように、テレビや雑誌の信長ブームも収まってきたようだ。

 これに対して、家康の政策というのは、「無理をするな、みんなで仲良くしよう」というもの。きわめて常識的な経済政策である。その行き着いた先が、江戸幕府による鎖国である。鎖国の功罪については、さまざまな意見があるだろうが、とにかく「小さなところでちまちまとやる」という考え方を採用したのである。

 それが成功し、安定した経済体制が続いたおかげで、元禄文化という素晴らしい文化が花開いたのだとわたしは考えている。

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