福井日銀総裁が利上げをするリスク
もう一人、周囲の情報に耳を貸さない頑固な「楽観主義者」がいる。それが、日銀の福井総裁だ。前述したように総裁の任期は今年3月に終わるが、任期切れ間近に再利上げをする可能性はまだ残されている。
11月13日の金融政策決定会合においては、水野委員が利上げを提案したとされており、その点について、会合後の会見で記者から、「仮にいま利上げをしたとしたら、市場が相当荒れたのではないか」と質問された。すると、福井総裁はこう答えたのだ。「水野委員だけではなく、ダウンサイドリスクをとらえて一直線に悪い方向にシナリオを書き換える政策委員は一人もいない」。
つまり、「『景気が着実に回復する』という日銀の標準シナリオを下方修正する委員はいない。今後も利上げを継続していきたい」という意欲を示したわけだ。
だが、失業率は4%台へと上昇し、前回のコラムでも述べたように景気動向指数の先行指数がバブル崩壊以後16年ぶりにゼロに転落するなど、多くの景気指標が黄信号を示している。にもかかわらず、福井総裁はそうした情報に聞く耳を持たず、楽観主義で突っ走ろうとしている。
米国の金利はまだまだ下がっていくはずだ。ここで福井総裁が最後っぺで日本の金利を上げてしまうと、日米の金利差は急激に縮小していくことになる。すると、これまで米国に向かっていた資金が逆流し、ドル暴落の引き金になるだろう。
イラン戦争勃発、日本の再利上げ――このどちらもドル暴落を引き起し、世界経済に混乱を招くことになるわけだ。ブッシュ米大統領と福井日銀総裁という任期切れを前にした2人が、2008年の世界経済の命運を握っていると言っても過言ではない。
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