財務省は米国債の保有高を開示せよ
さきの選挙によって参議院で民主党が過半数を占め、国政調査権を使って年金問題を追求する構えを見せている。ぜひ、その意気込みで財政問題にも切り込んでほしいとわたしは期待している。
財政問題は国の根幹にかかわる問題である。なかでも、米国債をいくら持っているかは、とんでもなく大きな問題であり、しかもこの上なく基礎的な問題である。第94回で紹介した日本金融財政研究所の菊池英博所長によれば、100兆円以上の外貨準備があるというが、これはあくまでも推計である。
いずれにしても、米国債の保有高を公表してくれれば、振り替えによる瞬間的な政府短期証券がいくら出ているかは分かるはずだ。それによって、米国債という財産の裏打ちのある債務を除いた、純粋な債務残高が算出されるだろう。
だが、あえてそれをしていないのは、債務残高が減っていることを隠したいのではないかと勘繰るよりほかはない。
つまり、財務省が意図的に「借金が増えている」というアピールをしたがっているというわけだ。政府短期証券という都合のいい数字を使って、表に出る数字を調整しているのではないか。そして、借金が史上最大を更新したといって、財政の引き締め、そして消費税の導入の理由つけをしているとしか考えられない。
そしてさらに困るのが、財務省の解説を新聞記者が真に受けて、「国の債務が史上最高更新」と書くことである。センセーショナルな見出しのほうが受けがいいと思ってやっているのかもしれないが、それでは財務省の思うつぼである。
誤解していただきたくないのは、わたしは日本の債務が少ないと言っているのではない。ただ、少なくとも日本の財政は、破綻状態ではないと見ている。しかし、その点で議論をしても、肝心の基礎的な数字が開示されていないのでは、最後には水掛け論にるなばかりだ。
財務省は、具体的な数字を国民の前に開示するべきである。そして、メディアはそれをきちんと検証し、冷静になって議論すべきだと思うのだ。
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