カリスマの条件を全て揃えた小泉首相
では、小泉首相はいつカリスマになったのか。
確かに、もともとカリスマの素養を持つ人ではあった。だが、決定的だったのは、森喜朗・元首相との最後の会談だろう。
「郵政改革をやる。オレは殺されたっていい」と言ったそうだが、この一言で彼はカリスマになった。
そして、このカリスマは、郵政民営化法案の反対派に対して、公認権を与えずに対立候補を擁立する。これは、さきほど述べたように、ユーフォリアを起こす常道である。
反発者に対して政治家生命を奪うという厳しい懲罰を与えた上で、敗者復活の芽をもほぼ摘んでしまった。
衆院選挙・造反に報復?
対抗馬に小池百合子環境相(中央の写真、官邸)を立てられ、記者会見する小林興起前衆議院議員(右の写真、衆院議員会館)。郵政民営化法案に反対した小林前議員への小泉純一郎首相(左の写真、官邸)の報復とみられる(写真はいずれも10日午前、東京・永田町)
(写真提供:時事通信社。なお同写真およびキャプションについて、時事通信の承諾なしに複製、改変、翻訳、転載、蓄積、頒布、販売、出版、放送、送信などを行うことは禁じられています)
情報の遮断もうまく行われた。
小泉首相は、選挙前も選挙中も「郵政民営化」しか口にしなかった。それはそうだろう。年金問題や道路公団民営化ならば、すでに結果が出ている。しかも、小泉首相にとって悪い結果である。
しかし、郵政民営化ならば、まだ結果が出ていない。つまり、手垢のついていない話題だけに集中して、それ以外の情報を遮断してしまったのだ。
マスコミもまた、この情報の遮断に一役も二役も買った。テレビをつければ、連日、“刺客対反抗者”のオンパレード。この4年間の実績についてまともに取り上げるところは、ほとんどなかった。
そして、陶酔を起こすための“厳しい修行”も与えられていた。
「痛みに耐えろ」ということばである。
だが、よく考えてみるといい。この4年間、庶民はすでにどれだけ痛みを被ってきたか。 発泡酒増税、たばこ増税のみならず、配偶者特別控除廃止、定率減税廃止、国民年金保険料の値上げなど、軒並み増税続きである。
さらに、政府税調によれば、給与所得者の控除を全面的に見直すというし、消費税のアップも選挙前から公然と話題にのぼっている。
一方で、金持ちに対しては、相続税や所得税の改変によって、大幅な減税政策をとっている。
大多数の庶民は痛みに耐え続け、ごく一部の富裕層が恩恵を被っている。普通だったら、間違いなく選挙で倒れる状況である。
ところが、そうではなかった。信じがたいことだが、この状況を、多くの人は“厳しい修行”と感じているのだろうか。
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