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構造改革をどう生きるか

第1回
なぜ、小泉首相は地滑り的勝利を収めたか

経済アナリスト 森永 卓郎氏
2005年10月1日

「恋は盲目」の状態に陥った選挙民

 「ユーフォリア」

 日本語では陶酔的熱狂といえばよいだろうか。先日の総選挙で、小泉自民党が圧勝した理由は、これ以外にどうしても思い当たらない。

衆院選挙開票・笑顔で花をつける小泉首相
満面の笑みで当選確実者の花をつける小泉純一郎首相(中央)。左は武部勤幹事長、右は与謝野馨政調会長(東京・永田町の自民党本部)
(写真提供:時事通信社。なお同写真およびキャプションについて、時事通信の承諾なしに複製、改変、翻訳、転載、蓄積、頒布、販売、出版、放送、送信などを行うことは禁じられています)

 ユーフォリアは、非合理的かつ非経済的な行動である。集団で起きると戦争にもなりかねない。けっしていいことはないのだが、しばしば起きてしまう。

 ユーフォリアが起きるためには、まずカリスマが出現しなければならない。

 カリスマは自分の地位を盤石にするために、反発者を懲罰にかける。そして、敗者はほとんど復活することはない。

 さらに、カリスマ支配のシステムを強固にするのが、情報の遮断である。内部にいる人間に冷静な判断をさせないために、外部から情報が伝わらないようにするわけだ。このあたりの事情は、旧共産圏や現在の北朝鮮を見れば、よくわかるだろう。

 そして、情報の遮断をしっかりとしたあとで、内部の人間が熱狂する。

 このユーフォリアを利用している典型的な例が、カルト教団である。カルト教団では、最後にもっとも強い陶酔が起きるのだが、このときカリスマは、信者に厳しい修行や貢献を要求する。

 そう考えると、恋愛もまた一種のユーフォリアであることがわかる。

 通常の経済行動ならば、資本を投下すればそれだけの見返りがあるのだが、恋愛では必ずしもそうはならない。むしろ、その逆で、見返りがなくてもひたすら貢ぐだけ。そして、貢げば貢ぐほど、相手にのめりこんでいく。

 カルト教団や恋愛においては、こうして経済原理とは正反対の現象が起きるのである。

 私は、こうしたユーフォリアが、まさに今回の総選挙のベースにあったのではないかと考えている。

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