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地震に勝つ住宅・負ける住宅

第12回
行政の施策は整った、後はやるだけだ!
~自助・共助・公助による努力を~

(財)日本建築防災協会専務理事 杉山 義孝氏
2006年1月16日

 昨年末から、構造計算書の偽造が判明したマンションやホテルの耐震性が注目されている。建築確認とか建物の耐震性について初めて関心を持った方も多いのではないだろうか。しかし、地震に立ち向かうという点を考えると、むしろ新耐震基準以前の基準で立てられた耐震性の低い戸建て住宅やマンションのほうが数が多く、こうした建物や住宅の耐震性を引きあげることがとても大事だということを、改めて注意を喚起したい。

 阪神・淡路大震災以降、ここ数年は特に、宮城県北部地震や新潟県中越地震など大規模地震が多発してきた。いまや国内のどこで地震が発生しても不思議はない。さらに東海地震や東南海・南海地震あるいは首都直下地震など、予想される大規模地震の発生周期が巡ってきている。これらの地震がいつ起こってもおかしくない状況だ。

 国は、耐震化に対して積極的な対策を講じる必要に迫られている。実際、耐震化の促進に向けていくつかの動きも具体化してきた。最終回となる今回は、行政の施策を紹介し、今後の課題を指摘する。

耐震化率9割を目標に据える

 昨年6月、国土交通省の設置した「住宅・建築物の地震防災推進会議」が提言を発表した。耐震化に向けた今後の目標と基本的な方向を示したものだ。

 まず、今後10年間の耐震化の目標を掲げている。住宅については、現在約75パーセントの耐震化率を9割に向上させる。同様に、不特定多数が利用する特定建築物でも耐震化率を在の75パーセントから9割に向上させることを目標に据えた。

 提言の特徴は、建物所有者が自らの問題あるいは地域の問題という意識をもって、目標達成に向けて取り組む必要性を指摘していることにある。そして国や自治体に対しては、建物所有者を支援するための様々な施策を展開するよう求めた。

 住宅や建築物の耐震化を促すための具体的な対策については、次のように挙げている。

 第1は、建物所有者などに対する支援策の充実だ。

 例えば、市町村の相談体制を強化する。技術的な内容に加えて、ローンや税制、税額の控除制度といった各種の助成制度、専門家や事業者のあっせんなど、ソフト面の情報も提供していく。耐震診断に関する事例や工費、事業者、標準契約書の書式などの情報提供も行う。

 さらに合理的な耐震改修の工法を開発し、地方自治体による普及を支援する事業も検討する。

 第2は、耐震改修促進法など各種制度の充実と強化だ。

 国や自治体はこれまでも、耐震改修をするよう建物所有者に呼びかけてきた。しかし、自主的な取り組みを呼びかけで促す手法には限界がある。そこで、きちんとした目標を設定し、必要な対策を考え、その成果を検証することを提言した。

 被害拡大の恐れがある密集住宅市街地では、地方自治体が建物所有者に耐震診断を指示、勧告できるようにする仕組みも求めている。

 第3は、建物所有者などに対する啓発。

 ここでは、危険な地域を示したハザードマップの公表や、「誰でもできるわが家の耐震診断(第5回参照)」の全戸配布などを挙げている。地震時における危険個所の点検を地域で進めることや、リフォーム工事に合わせた耐震改修の誘導も提示した。

 第4は、専門家や事業者の育成だ。耐震化の技術だけでなく、工事に伴う融資やローンなども含めた総合的な講習会を実施する。専門家同士が連携できるよう、地域協議会をつくることも提示した。

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