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地震に勝つ住宅・負ける住宅

第9回
耐震補強は住宅全体のバランスを考えて
~いまの暮らしを犠牲にしない補強法はちゃんとある~

(財)日本建築防災協会専務理事 杉山 義孝氏
2005年11月25日

 再び在来木造住宅に話を戻そう。今回のテーマは、具体的な耐震補強の方法だ。

 今住んでいる家の耐震性が不十分な場合、耐震補強工事によって地震に勝つ住宅へと改修することが出来る。しかし不安だからといって、すぐに工事にとりかかってはいけない。工事の前にはいくつかの準備作業が必要だ。

 新築の場合、地震に強い家をつくるのは比較的たやすい。家は更地の上にゼロからつくるわけだから、地震に強い家の仕様を設定すれば、あとはそのまま建てればいい。しかし既に建っている住宅の場合、仕様を決める前に、現在の建物の状態と耐震性能を調べて把握しなければならない。

制約のなかで効果的な方法を探る

 まず、家の状況を知るための重要な手掛かりとなるのが新築や増築の際に作成した設計図書だ。平面図や断面図、立面図、詳細図などを調べると建物の構造や下地の仕様を把握できる。これは耐震診断するときに貴重な資料となるから、居住者は設計図書を大切に保管しておいていただきたい。

 図面で概況を調べた後は、第6回で解説した耐震診断を行う。

 壁と独立柱が必要量備わっているか。壁の配置バランスは適切か。接合部は金物でしっかり留められているか。そして、足元の木材が劣化していないか…。建物の劣化状況についてを分かる範囲で目視調査し、耐震診断法に従って計算しながら、耐震性の低い原因や個所を見極める。こうした診断を踏まえ、具体的な補強方法を考えていくわけだ。

 もっとも耐震性が低い部分を単純に補強すればいいわけではないところに、耐震補強の難しさがある。既存住宅の工事では、様々な制約を受ける。制約条件の下で効果的な手法を選ぶことが重要だ。

 制約のひとつは住宅の使い勝手との調整だ。壁を入れるのに出来るだけ日常の動線をさえぎらないように入れる必要がある。補強する箇所も実際に使われている状況の中で適切な判断をすることが必要になる。

 また、居住者が日常生活を送りながら補強工事をするかどうかによっても工事の方法は左右される。「いながら工事」の場合、工期をできるだけ短縮することが重要だ。そのためには適切に段取りを組むだけでなく、可能な限り生活の場を邪魔しない工法を選ぶといった工夫が欠かせない。

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