第7回
地震の前に知っておこう!建物の「被害判定」の仕組み
~生活再建のカギは「罹災証明」のスムーズな取得~
(財)日本建築防災協会専務理事 杉山 義孝氏
2005年10月14日
宮城県北部地震(2003年)、新潟県中越地震(2004年)、福岡県西方沖地震(2005年)など大地震が頻発している。地震後に赤いステッカーを貼られた被災地の家々の様子や、「全壊」「半壊」といった言葉を見聞きする機会も増えた。これらは、建物がどの程度の被害を受けたかを判定する作業に伴うものだ。しかし、被害判定にはいくつか種類があることをご存知だろうか。
マスコミも少しずつ報道するようになっているが、それぞれの意味と内容は必ずしも国民に十分行き渡っていないのが実情だ。そのため、地震が起こるたびに被災地で若干の混乱を生じている。
そこで今回は少し視点を変え、大きな地震が発生して建物や住宅が被害を受けたときに実施される被害状態の判定について説明したい。
3種類の判定の違いを知ろう
建物の被災状況を判定する仕組みには、3種類がある。これらは目的も方法も違う。地震からの時間経過に応じて順次行うので、本来は実施時期も異なる。ただし、新潟県中越地震のように余震が長く続くと、判定の時期が重なるような状況も生じる。すると、どの判定を受けているのかという区別がつかず、混乱を招く結果にもつながってしまう。
地震後、早く始める判定から順番に説明していこう。
第1は、「被災建築物応急危険度判定(以下、応急危険度判定と表記)」だ。余震に伴う2次被害を防ぐことを目的とし、地震直後、できるだけ早急に地方公共団体(都道府県の支援で市町村が実施)が実施する。地震直後から1週間以内くらいの内に地震被害にあった建築物に対して行うのが一般的だ。
2次被害とは、被災建築物が余震によって倒壊したり、建物まわりの部材が落下したりすること。そのまま自宅に居てよいのか、避難所に避難した方がいいのかを判断する。
2つ目は、もう少し時間を経て、少し被災地が落ち着いてきた地震後1カ月から数カ月の時期に行う、「罹災証明」のための建物調査だ。財産という視点から家屋の被害の度合いを判定し、被災者に対し、確かに被害が生じたことを市町村長が証明する。被災者生活再建支援法では、支援金を給付する際の申請手続きに罹災証明を添付することになっている。
3つ目は、「被災建築物の被災度区分判定(以下、被災度区分判定と標記)」だ。建物の残存耐震耐力を判定し、補修や補強の工事をすればそのまま使い続けられるのか、あるいは建て替えが必要なのかを判断する。補修や補強の方法も含め、建築構造的に判定するのが特徴だ。
被災度区分判定は基本的に、被災者による生活の復興に向けた動きが本格化する地震後3カ月から半年ぐらいの間に実施される。建築設計事務所が被災者の依頼を受け、ビジネスとして行う。
このように、役割とタイミングが違う判定が3つある。それぞれの違いを踏まえたうえで、個々の判定について詳しく述べてみたい。
おしえてBP!
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