倒壊を招く5つのポイント
さて、ここで阪神・淡路大震災で被害を受けた木造住宅の特徴を5つまとめてみたい。これは、その後10年に発生した地震被害にも通じていることと言える。
まず第1は、壁の少ない住宅だ。
■ 壁の配置
昔から日本でつくられてきた「在来木造」と呼ばれる住宅は、柱と梁で建物を支える。こうした構造は地震のように横からの力がかかると壊れやすいため、横からの力に面で抵抗する壁を配置する必要がある。これを「耐力壁」という。
耐力壁は、柱の間を斜めに支える筋かいを入れたり、強度の高い構造用合板を柱の両側に張ったりした強い壁のこと。耐力壁が十分な量あるかどうかによって、地震に対する建物の強さは大きく左右される。しかし、特に古い住宅では耐力壁が少ない場合が非常に多かった。
2つ目は、こうした耐力壁の配置のバランスが悪い住宅である。
■ 建築物の形
たとえば商店街の店舗は、道路側の壁が全部開口となっているものが多い。1階の車庫の上に2階を増築したような住宅や、南側に掃き出し窓(床面から壁の上部までの窓)が続く住宅などもよく目にする。
こうした住宅は、壁の配置が偏っている。偏り(偏心)の大きな住宅は地震が発生すると建物にねじれが生じ、倒壊しやすい。
■ 主要な構造部材の緊結
3つ目に挙げられるのは、柱や梁、土台、筋かいなど主要構造部が緊結(きんけつ)されていないものだ。
古い住宅では、木材の接合部分に金物を使わず、ほとんどクギだけで留めたものが多かった。これでは、接合部をしっかりと緊結したことにならない。横から力が加わると木材が抜け、柱が土台から踏み外してしまったり、筋かいが抜けてしまったりする。
いくら壁自体のつくりを強くしても、柱や筋かいが抜けてしまっては元も子もない。
第4は、定常的なメンテナンスをしていない家だ。
特に浴室や台所など水まわり部分の柱の根元は、しみ出た水分によって木材が腐朽してしまいがちだ。湿気の多い床下などでは、シロアリによる蟻害も無視できない。
腐朽や蟻害によってボロボロになった木材は、日常のメンテナンスによって取り替える必要がある。しかし、適切な手入れをしないまま放置してしまった結果、足元が弱くなり被害を受けた住宅は多く見られた。
そして第5は弱い基礎の住宅である。
現在の木造住宅では、鉄筋コンクリートによる布基礎(※)とすることが定められているが、昔は鉄筋の入っていない無筋コンクリートの基礎や、礎石の上に柱を直接立てる「束石だて」の基礎としているケースが一般的だった。これも、やはり地震が起きると非常に弱く、被害を受けやすい。
※布基礎(ぬのぎそ):建物の壁面に沿ってぐるりと設置される帯状の基礎。「布」とは水平に連続していることを意味する
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防災 ・災害
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