第1回
なぜ、日本の家屋は倒壊するのか
(財)日本建築防災協会専務理事 杉山 義孝氏
2005年7月22日
なぜ、日本の家屋は倒壊するのか
1995年1月17日に発生し、私たちに強烈な印象と記憶を刻み込んだ阪神・淡路大震災から10年たった。振り返ってみると、阪神・淡路大震災が決して特異な地震だったわけでないことに改めて気づく。
鳥取県西部地震(2000年)や芸予地震(2001年)など、大きな被害をもたらした地震がその後も発生している。昨年秋と今春に起こった新潟県中越地震と福岡西方沖地震も記憶に新しい。
これだけ地震が頻発しているにもかかわらず、日本人はその被害の大きさを忘れがちだ。日本は文字通り地震国で、どの地域でも地震は起こり得る。私たちは、恒常的に地震に立ち向かう必要があるのだ。しかし、人の噂も75日というように、良いことも悪いことも時間とともに忘れ去り、同じような被害を繰り返している。
一方で、地震はいつ起こるかわからない自然現象であり、防げるものではない…そんなあきらめの気持ちを抱いてしまっているのではないだろうか。
しかし、地震は決して対応策のない自然現象ではない。地震被害を仕方ないものとして甘受するのではなく、積極的に立ち向かい、打ち勝とうという気持ちが欠かせない。
ではそのためにどうしたらよいのか。この連載コラムでは、「地震に勝つ」ための方策についてお話ししたい。
死因のほとんどは家屋の倒壊
地震被害に勝つために何よりも大切なのは、建物が倒れないようにすることだ。
阪神・淡路大震災では、地震による直接的な被害で亡くなった5500人のうち家屋の倒壊による圧死が88%を占め、あとの約10%は火事による焼死だった。焼死された方の多くも、住宅が崩壊して逃げられなかったと見られている。つまり、死者のほとんどが住宅の倒壊に起因しているのだ。
また、神戸市内の監察医が調査したところによると、地震当日の午前6時までに92%の方が亡くなったという。地震発生時刻は午前5時46分であるから、地震発生後15分以内に死亡している。これは、耐震性のない住宅が倒壊したため、逃げ出すこともままならず亡くなった人の多さを示している。
こうした結果から分かるのは、大きな地震が起こったとき耐震性のない家から逃げ出して助かることはほとんど不可能だという点だ。対策としては、家を丈夫にするしかない。
■ 阪神相震災における被害
関東大震災では10万人以上の死者が発生した。このときは東京市街地の43%が火事で消失したため、私たち日本人には「地震が来たら、まず火を消せ」ということが遺伝子のように刷り込まれている。
もちろん、火事を起こさないことは重要だ。でも、建物が倒れないようにすることはもっと大切だという点を認識する必要がある。
そもそも建物が倒壊すると、消防車が火事の現場に行き着けない。また、建物内に人が残っていたら救助活動を優先し消火活動ができない。さらに、木造住宅が倒壊すると建物を覆っていた不燃材料などが落ちて燃えやすくなり、火事の延焼をさらに広げるという事態が起こる。
火事の拡大は、倒壊が大きな原因になっている。命を守り、火事を防ぐためにも、建物の倒壊を防ぐことは重要だ。
おしえてBP!
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