率先して行うことが、着実に実を結ぶ
話をもとに戻そう。肝心の行政や立法がこんな状況のなか、後部座席でも必ずシートベルトをしている政治家がいるのをご存じだろうか。長野県の田中康夫知事だ。田中氏は長野県交通安全運動推進本部の本部長も兼務し、同県内で流れるシートベルト装着キャンペーンのCMにも自ら出演。シートベルト装着の呼びかけを行っている。その結果、興味深い現象が起きた。長野県はシートベルト装着率がずっと全国平均以下だったのだが、現在では全国平均を上回ることに成功。後部座席シートベルトの装着率に関しては、一般道で24.4%と全国1位になっているのだ。(詳しくは、こちらを参照)
法制化の効果によって前席シートベルトの装着率はおおむね90%以上に達している。理想をいえば100%だが、まずは合格点としていい。そうなると問題は後席だが、近い将来の法制化が期待薄である以上、とりあえずは啓蒙と告知を徹底していくしかなさそうだ。
具体的には、政治家や官僚、警察官などは率先して後部座席でもシートベルトを着用すること。その他、中央・地方を問わず、公務員が税金で購入したクルマに乗る際は後部座席シートベルト着用を義務付ける。相手が公務中の公務員なら「通達」という形でもそれなりの強制効果は発揮できるはずだ。
世論をリードする立場にあるマスコミ関係者にも、後部座席でのシートベルト着用を率先して実行してもらいたい。とくにテレビの力は大きい。現在はシートベルトをしないで後部座席に座っているシーンを当たり前のように放送しているが、これは基本的にNGにすべきであり、画面に映る後部座席の乗員には必ずシートベルトを着用させて欲しい。後部座席でもきちんとシートベルトを着用している著名人たちの姿が画面に映れば、大きなプラスの影響が出るはずだ。
企業経営者は、従業員へのシートベルト着用を徹底させ、自らも規範となるようシートベルトを着用する。私たち個人はどうすればいいのか。後部座席に乗ったときはもちろんシートベルトを着用する。加えて、ドライバーとして後部座席に人を乗せたときはシートベルト着用を丁寧にお願いし、それまでは決してクルマを発進させない。また、後部座席シートベルトが使えない状態になっているタクシー(案外多い)に乗ったら、きちんと苦情をいうことも大切だろう。
このようにして少しづつ後部座席シートベルト着用率を引き上げる。と同時に広くコンセンサスを形成していけば法制化もようやく現実味を帯びてくる。そうなって初めて、クルマの安全はシートベルトの着用から始まるというもっとも基本的な部分が完成するのである。
資料提供:ダイムラー・クライスラー日本
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