第15回
後部座席シートベルトの着用が安全なクルマの条件となる
着用率の低さからわかる安全意識の低さ
モータージャーナリスト 岡崎 五朗氏
2006年2月13日
アンケートから見る後席シートベルト着用の実態
このコラムの第1回で、「安全なクルマ」の条件として定員分の3点式シートベルトが付いていることを挙げた。安全の基本がシートベルトによる身体の拘束であることを考えれば、当然のことである。
しかし、たとえクルマに定員分の3点式シートベルトが備わっていたとしても、正しく使われていなければ意味がない。では、後席に乗ったとき、どの程度の割合の人がシートベルトを着用しているのだろうか。JAFが2005年10月に実施した調査によると、一般道路での後席シートベルト着用率は8.1%で、高速道路でもわずか9.8%にすぎない。このような状況では、たとえ自動車メーカーに「乗員分の3点式シートベルトをクルマに装備すべきだ!」と要求を突きつけ、それが受け入れられたとしても、肝心の死亡・重傷者数の大幅な低下は望めない。「全乗員がシートベルトをする。安全運転はそこから始まります。」これは、メルセデス・ベンツのカタログ最終ページに書かれているコピーだが、安全技術で世界の最先端を走るメルセデス・ベンツでさえ、シートベルトをしていない乗員の前では無力であることを認めているのである。
上/一般自動車道におけるシートベルト着用状況調査結果(平成17年10月)
下/高速自動車道等におけるシートベルト着用状況調査結果(平成17年10月)
*出典:警察庁/JAF「シートベルト着用状況全国調査」より
残念ながら他国の後席シートベルト着用率に関するデータは持っていないが、ドイツ、英国、オランダなどヨーロッパの主要国は、後席でのシートベルト着用を法律で義務付けている。当然、日本と比べれば後席乗員のシートベルト着用率は圧倒的に高い。
なぜ日本の後席シートベルト着用率はこれほど低いのだろう? 上記と同じJAFのページに「後部座席でシートベルトを着用しない理由は?」という質問に対するアンケート結果が掲載されている。もっとも多い回答は「前席と比べて装着しづらい」で、「着用すると窮屈だから」「面倒だから」という理由が続く。たしかに、片手で簡単に装着できる自立式バックルを採用している国産車は数えるほどしかない。この問題は自動車メーカー側が真摯に考える必要があるだろう。
JAFユーザー調査「後部座席でシートベルトを着用しない理由は?」(平成14年8月)
*出典:警察庁/JAF「シートベルト着用状況全国調査」より
しかし、「前席と比べて装着しづらい」のがシートベルトをしない本当の理由なのだろうか。私は、この回答は怪しいと考えている。というのも、アンケートにはしばしば「建前」や「言い訳」が入り込む余地があるからだ。事実、同時に実施したアンケートで、後席に乗ったときシートベルトを「常にしている」もしくは「だいたいしている」と回答した人は、一般道で18.1%、高速道路で28.9%で、前述した後席シートベルト着用率8.1%と比べても、明らかに異なったアンケート結果が出ている。
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