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「安全なクルマ」を再考する!

 それに対し現在は砂埃が上がらず、ブレーキがよく効き、スリップもしにくい舗装路が基本。自動車の性能も飛躍的に向上している。つまり、危険を感じてブレーキをかけた場合に必要な停止距離は大幅に短縮されている。にもかかわらず、歩道や信号機ががきちんと整備された幹線道路でも相変わらず58年前の規制が適用されていることに、合理的な説明を付けるのは難しい。制限速度を守って走ることを苦痛に感じてしまうのも仕方がない。

 そんなわけだから、たとえ18km/hとか20km/hオーバーで捕まったとしても、「たまたまネズミ取りに遭遇してしまったオレは運が悪かった」と感じるだけで、誰も反省などしない。いや、反省できないといったほうがより正確だろう。むしろ「オレだけ捕まえるなんて不公平だ」とか「こんなにまっすぐで視界のいい道が50km/h制限であること自体がおかしい」という、警察への不信感さえ生みだす結果になっている。

 こうした問題に関して、伊藤栄樹氏(元検事総長、故人)、秦野章氏(元法務大臣、元警視総監、故人)、井嶋一友氏(元最高裁判所判事)といった司法や行政のトップも同様の意見を述べている。

 もちろん、警察も制限速度と実勢速度(流れ)に格差があるのは承知であり、10km/hオーバー程度で取り締まりを受けることはほぼない。15km/hオーバーになるとグレーゾーンに入り、20km/hならほぼ間違いなく御用というのが相場だろう。高速道路等に設置されている自動速度取り締まり機などは、かなりの速度オーバーでなければ作動しないように調整されていると聞く。

 いわゆる「法律の柔軟な運用」というテクニックを使うことで、制限速度と実勢速度の乖離を回避しているわけだが、私はそういった状況は非常に好ましくないと考えている。なぜなら「本当は法律違反だが取り締まりの対象にしない」のが現状であって、理論上は5km/hオーバーでも違反は違反。言い換えれば、現場警察官の裁量で取り締まることも可能だからだ。もちろん、実際には上部からの内規や指導のような形で取り締まりのガイドラインは示されているはずだが、法律ではないため警察側の胸先三寸でどうにでもなる。実際にはないと信じているが、「今日はムシの居所が悪いから捕まえまくってやる!」という警察官が出てこないとも限らない。

 私が理想とする速度規制のあり方はとてもシンプルだ。「守れるルールをつくって、それをきっちり守る」である。たとえば実勢速度が80km/hの道路なら、制限速度を80km/hに定める。そして、それを超えて走るクルマは問答無用で取り締まればいい。そうすれば、「実勢速度と規制速度の乖離(かいり)」と「取り締まりの不平等感」という問題が解決されるばかりか、遵法運転派と実勢速度派の速度差が小さくなり、より安全で快適な交通環境が生まれると思うのだ。

 そんななか、栃木県警が宇都宮市の国道119号線の最高速度規制を11月中旬から60km/hから80km/hに引き上げると発表した。区間はわずか4キロと短いが、無料一般道路の80km/h制限は日本で初めて。栃木県警によると「実際には60km/hを超えて走行しているクルマが多いが、事故が少ないため規制を実勢速度に合わせた」という。"法定"最高速度とはいうものの、実は速度規制値変更に法律改正は不要であり、各都道府県の公安委員会が定めてもいいことになっている。「守れるルールをつくって、それをきっちり守る」ためにも、栃木県警に追随する動きが各地で生まれて欲しいものである。

 次回は海外の例を引きながら、速度規制および、各種交通取り締まりのあり方についてさらに掘り下げていくことにしたい。

参考URL:
NPO法人リーガルセキュリティ倶楽部『困り事よろず相談処 ほ~納得!
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