番外編―日本、中国、安心・安全をめぐる旅 1
日本SEQ推進機構代表 徳江 倫明氏
2005年9月30日
「ブログ」と旅日誌
最近、インターネットでWeblogの略語、『ブログ(blog)』なるものが注目されている。Webは“くもの巣”のこと。つまりwww(ワールドワイドウェブ)とは、くもの巣のようにインターネットを通じて世界中に張り巡らされた情報ネットワークを指すと考えればよい。
ブログに関する著書のある岡林秀明氏の解説によれば、『log(ログ)』はもともと“丸太”のことで、丸太を使った家は“ログハウス”ということになる。その昔、ヨーロッパの船乗りは、自分の船の速度を知りたい時、海上に丸太を投じて計測したらしい。そこから計測結果を記録する航海日誌を『ログブック』、略して『ログ』と呼ぶようになり、様々な“記録”や“日誌”の名称になったということである。今では航空日誌、無線通信の記録、機械の試験記録、コンピューターの整備記録や利用記録までログと呼ぶらしい。要はブログとは、Web上で展開する情報などの履歴の記録がウェブログで、それをを略したものである。
現在、食の安全問題でも「生産履歴」や「トレーサビリティ」が注目されているが、生産履歴に関する記録や、商品の生産から販売までの追跡と遡及が可能な記録が重視されることと、ブログの広がりとが期を一つにしているのは、偶然なのか、時代の流れなのか気になるところである。
私はパソコンを自分で使うようになってまだ5年ほどである。特にインターネットをある程度使いこなすようになってから日が浅いが、それでもその可能性には大きな期待を持っていた。今年に入って「ブログ」の内容を知るにつけ、いよいよWebの持つ双方向のコミュニケーションツールとしての潜在力が具体化してきたと思うのである。
しかしそれは決してワールドワイドな情報ネットワークという観点からではない。環境問題の中で最初に使われた『Think Globally Act Locally』という言葉がある。地球規模で考え、地域レベルで行動する、という言葉だ。ブログは世界中の情報にアクセス可能な機能を持ちつつ、まさに地域レベルで行動するのに適したデジタルツールである。それと同時に、双方向の情報交換を通じて共通の接点をもつ具体的な人のつながりと共感の輪を作り上げていくアナログツールでもある、という点に私は注目している。
とにもかくにも、ブログは情報の履歴を自動的に記録してくれる。しかも構築は簡単シンプル、コストもほとんど掛からず、誰もが情報発信の道具として使える。自分の日誌として公開することも出来れば、非公開でプライベートな日誌としても使え、その内容に関心のある人はコメントを出してくる。さらにトラックバックによってブログどうしがリンクし、情報は多くの人に連鎖しながら広がっていく。いわゆる“井戸端会議”や“口コミ”がデジタルな仕組みでリアルに展開され、共通の関心やテーマを軸に無数のコミュニティが形成されていくことになる。マーケティング的な視点から見ると、たまらない可能性を秘めているといえるだろう。
私の友人に山本謙治という男がいる。私のことを“師匠”と呼んでくれている彼は、最近、『農産物流通コンサルタント』と名乗っている。とにかく食べるのが好き、その食べる量は半端ではない。私もかなりのものではあるが、やはり歳のせいか、もはや彼にはとてもかなわない。その彼のブログが『やまけんの出張食い倒れ日記』。趣味がそのままブログになった、という感じのこのブログは大変な人気で、ブログに関する本には、“人気ブログ”として必ず紹介されている。さらにはその日記が『やまけんの食い倒れガイド』という本にまでなってしまった(フォーバイフォーマガジン社)。まさにこのブログは同好の士の集まりであり、その影響力は計り知れない。とにかく食べるのが好き、という人には必見のブログだ。
この連載のバックナンバー
- アメリカ牛肉の輸入再開と消費者ニーズ (2006/01/13)
- 売れても売ってはいけないものがある (2005/12/09)
- 安全と環境と有機農業 (2005/11/29)
- 生産履歴・トレーサビリティの最前線 (2005/11/11)
- 番外編―日本、中国、安心・安全をめぐる旅 3 (2005/11/01)

