第89回
政治的な猛威を振るう中国の国家ファンド
国際問題評論家 古森 義久氏
2008年12月2日
米国が官民あげて中国に関する研究や調査に取り組んでいる現実は、すでにこの連載コラムでも報じてきた(第73回「日本は、米国議会の“中国対策”に学べ」など)。自国のこれからのあり方を考える際に、今の世界に大きな変化をもたらす中国という躍動の存在への総合的な理解が不可欠だということだろう。この基本はオバマ新政権が登場してからも変わりはないだろう。
米国のそうした中国研究の主要組織「米中経済安保調査委員会」が11月20日に2008年度の年次報告を発表した。同委員会は連邦議会上下両院が超党派で結成した政策諮問機関である。連邦議会の民主、共和両党の有力議員が推薦した合計12人の中国や米中関係の専門家たちが調査委員となって、「米中両国の経済関係が米国の国家安全保障にどんな影響を与えるかを調査する」ことを目的に活動する。2001年から機能している組織であり、毎年その一年間の活動を総括して、議会や政府への報告、そして政策提言にまとめて公表する。その集大成がこの年次報告である。
2008年の年次報告も中国への関与や交流の重要性を強調しながらも、中国の動向、そして米中関係の動きには米国の国家安全保障に有害な側面があることを率直な筆致と多数の実例で指摘していた。そのなかで経済面での中国の危険な行動として調査委員会の首脳たちが記者会見でとくに警戒を訴えた主要例の一つが中国の「主権国家資産ファンド」(Sovereign Wealth Fund)だった。
あなたのご意見をコメントやトラックバックでお寄せください
この連載のバックナンバー
- 北朝鮮のミサイル発射があらわにした日米同盟の希薄化 (2009/04/14)
- 間近に迫るテポドン2号の脅威を読み解く (2009/03/31)
- 保守派の論客、ラッシュ・リムボウを知っているか (2009/03/17)
- 社会主義色が濃厚になったオバマ大統領の施策 (2009/03/03)
- ヒラリー訪日の意味 (2009/02/17)

