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“外交弱小国”日本の安全保障を考える

大統領選では薄められたリベラル色

 しかしオバマ氏は全体としては上院議員時代に示してきた超リベラル、左傾斜の政策や主張を大統領選挙では大幅に薄める結果となった。たとえば大統領選キャンペーンでは石油の値上がりや全般的なエネルギー不足が問題になると、オバマ氏は石油の沿岸開発に対しても、原子力発電所の建設に対しても、それまでの反対や禁止の態度を軟化させてしまった。

 米国ではいくら保守主義が後退したといっても、リベラル派はなお少数である。大統領選挙の全米出口調査では、投票者たちのうち、みずからを保守とみなすと答えた人が全体の34%、リベラルとみなすと答えた人が22%だったのだ。だから米国での選挙では候補者たちは中道からやや保守寄りのスタンスをとらなければ、当選は難しいとされてきた。オバマ氏も今回の選挙では本来の超リベラルから中道や保守の方向へかなりシフトしていた。

 ところがそれでもオバマ氏の上院議員時代の明確な左傾斜はなお米国民の識者たちの記録には残っている。そうした事実に細かな注意を払ってきた向きにとっては、大統領選でのオバマ候補と上院でのオバマ議員との間のギャップは明白となる。いまとなっては明暗で分ければ、オバマ氏の大統領選での政策発表などがあくまで「明」とすれば、上院議員時代の政治的言動が「暗」となる。その間の差異が大きければ大きいほど、中道や保守の国民層にとってはオバマ次期大統領への懸念が増すこととなるわけだ。

 さてオバマ次期大統領は上院時代の元来のリベラル色を復活させるのか、それとも大統領選挙でのリベラル色を薄くした新しいイメージを保っていくのか。大統領選の最中には、オバマ氏の本来の超リベラルの軌跡は主要メディアではほとんど取り上げられなかった。だがいまや、選挙に勝った以上、オバマ氏自身は本来の立場へと復帰していくのか。米国の各方面がこれから息をこらして注視していくわけである。

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