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“外交弱小国”日本の安全保障を考える

生存(サバイバル)こそが麻生首相の使命

 前述のオースリン氏はプリンストン大学などを経て、現在はワシントンの大手シンクタンク「AEI」の研究員である。AEIも現ブッシュ政権を含めて歴代の共和党政権とはきわめて近い立場にある研究機関である。オースリン氏はそのAEIから上述の論文を発表した。同論文が指摘する麻生氏の諸課題をみよう。「経済停滞と党派争いからの政治麻痺にまず取り組むことを余儀なくされる麻生新首相は、自民党が生きながらえるためにも、日本経済を改革し、日本のグローバルな役割を正当化する計画を敏速に作成しなければならない――麻生首相の当面の唯一の目標は『生存』、つまり自分と自民党とが生きながらえることなのだ」

 生存(サバイバル)こそが麻生首相の使命だというわけである。

 オースリン氏はこの点については「麻生氏は自民党が1955年以来、最も危険な状態に直面した時期に、その党のリーダーシップを引き継ぐことになったのだ」として、麻生首相がこの11月にも国会解散から総選挙へという動きに出ることを迫られる可能性をも指摘した。

 麻生氏個人の特徴についての批判的な論評もある。麻生氏を全体として好意的に評するクリングナー氏も以下のように述べた。「ワシントンでは麻生氏が北東アジアの微妙な外交関係に火を付けるような放言を繰り返す傾向があることに不安を抱く向きもある」

 この点で最もとげとげしい言葉を使ったのはニューヨーク・タイムズの「麻生太郎の復帰」と題する社説だった。麻生首相登場の直後の9月25日付社説だった。「日本の新首相の麻生太郎は日本の近隣諸国では『ケンカ好きなナショナリスト』として知られてきた。2005年から2007年にかけての日本の外相として、麻生氏は日本の戦前の植民地主義の実績を礼賛し、戦時の残虐行為を正当化し、中国を危険な軍事的脅威として描くことにより、中国と韓国との関係を悪化させ、アジア地域の緊張を高めた」

 この社説ははっきりとした悪意を感じさせる批判である。そもそも2005年から2007年にかけて麻生外相の発言のために「アジア地域の緊張」が高まったなどというのは、事実に反する。

 麻生氏が外相を務めた安倍政権下では、その前の小泉政権時代と比べ、中国や韓国との関係は明らかに友好的となり、緩和されていた。それに麻生氏が「戦時の残虐行為を正当化」というのも、誹謗に近い粗雑な記述として響く。「アジアの緊張」を強調し、その原因を麻生氏の発言に帰しながら、中国の目覚しい軍事拡張や韓国の竹島占拠、そして韓国の前政権下での官民あげての日本叩きなどには全く触れていない。日本政府はこのニューヨーク・タイムズの社説にすぐ抗議したというが、当然の措置だろう。

 しかし、米国側の麻生新首相への反応にはこうした極端な非難もあることは注視しておくべきである。

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