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“外交弱小国”日本の安全保障を考える

国際社会の一員としては、壮大な失敗だった北京五輪

 こうした状況を総括すると、中国当局は北京五輪の「円滑な運営」のために、国内の民主主義的な動きを徹底して抑えきったといえる。北京五輪の現実をじっくりと考察すればするほど、中国政府はその持てる国家独裁パワーを最大限に行使しきることによって、オリンピックを「成功」させたことが歴然としてくる。独裁権力の行使はつまり民主主義の蹂躙である。つまり北京五輪ほど民主主義の価値観を踏みにじった五輪もまず歴史上、先例がない、ということだろう。

 前述のように、北京五輪をスポーツの祭典としてだけみるならば、その展開は成功だといえる。だが、その祭典の政治的な意味合いはまた別である。北京五輪が今後中国の国家としての構造をどう変えていくのか。あるいは中国の国際的な地位や評価をどう変えていくのか。

 すでに現在でも、この北京五輪が期せずして中国の国家としての異質性、つまり民主主義とは正反対の独裁統治の実態を全世界に向けて、さらけ出してしまったことは否定のしようがない。中国政府があれだけの巨大な規模の祭典をみごとに組織し、演出し、実行し、しかも中国選手が金メダルの獲得戦で圧倒的な勝利を収めたことは、中国人全体に強い誇りと自信とをもたらすことだろう。その結果、国内では短期的にせよ、一般国民の政権への支持は高まるという効果も考えられる。

 国際的にも中国がそのパワーや威信をより広く、より強く発揮したともいえよう。だが同時に中国は自らが国際社会の主流派である諸国とはいかに異端の独裁体質であるかをも期せずして全世界に知らしめる結果となってしまった。

 だから北京五輪は「一つの世界、一つの夢」という崇高なスローガンの下に国際社会に同質、均質の主要な一員として自らを確立させるという中国当局自身の意図とは逆方向への展開となったのである。この国際的な意味では北京五輪は壮大な失敗だったともいえるであろう。

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