第82回
独裁体質を露呈した北京五輪の舞台裏
国際問題評論家 古森 義久氏
2008年8月26日
北京オリンピックも8月24日、ついに幕を閉じた。8月8日からの17日間、スポーツの祭典としては前例のないほど壮大、華麗、そして躍動に満ちあふれた催しだった。閉会式だけをみても、これでもか、これでもか、と色彩豊かな人の海が巨大な動くモザイクをつぎつぎに創り出し、目をみはらせる映像やメッセージを描き出す。まさに中華人民共和国の威信の一大デモンストレーションだった。
しかしそれ以上に、北京五輪というのはその開催が2001年に決まってからの7年間、全世界にさまざまな波紋を広げてきた。政治的な論議の焦点ともなってきた。その論議とは簡単にいえば、国民の基本的な人権を抑制し、民主主義や宗教を弾圧する一党独裁国家が「平和と友好の祭典」であるはずのオリンピックを主催する資格があるのか――という点をめぐっての是非論だった。
今回の北京五輪を純粋なスポーツ行事だけとしてみるならば、その結果は成功だったといえよう。大きな妨害や事故がないまま無事に終わっただけでも、中国当局側には「大成功」と宣言するだけの理由はあろう。
さらに中国の選手たちの金メダル奪取の勢いはものすごかった。体操に、卓球に、柔道に、ダイビングに、とにかく中国の男女たちが優勝に優勝を重ねていった。金メダルの数では第二位の米国を大きく引き離す成果だった。絢爛豪華だった開会式と合わせて、中国の威信はまさに内外に十二分に発揮されたといえる。
私もこの北京五輪を現地で最初から最後までジャーナリストとして観察した。実際の競技の観戦にも何度も出かけていった。若い男女が国籍や人種の差異を問わずに、スポーツに全力を投入して、日ごろの鍛錬を競いあう。その熱中や交流は国際的友好という点からも非常に貴重に見えた。
私は日本の選手はもちろん、米国、イギリスからロシア、フランスまで多様な国の選手やコーチたちとも直接に語りあう機会を得た。「さすがオリンピック」と、感嘆せざるをえないほど広範な地域や国家からの多様きわまる選手たちの参加や交流を目撃した。
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