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“外交弱小国”日本の安全保障を考える

第75回
米国が懸念する四川大地震での核兵器施設への被害

国際問題評論家 古森 義久氏
2008年5月20日

 中国の四川大地震の被害は当初の想像をはるかに超える規模であることが明らかになってきた。5月19日の時点での中国当局の発表によると、死者は3万4000人以上、負傷者は24万を超えたという。世紀の大惨事とも呼べる悲劇である。命を亡くした方々には謹んで弔意を表し、愛する肉親を失い、家や財を奪われた罹災者の方々には、心からの見舞いの意を述べたい。日本の官民をあげての救助支援の活動も、敏速に進むことを期待するところである。

 米国の首都ワシントンでも、この中国での大惨事は詳しく報じられ、政府、議会、民間と、広範に熱のこもった救援の動きが起きた。米国マスコミの特派員たちも四川省などの現地に足を運び、被害にあった多数の住民たちの悲劇を膨大な量の報道で伝え始めた。中国政府の首脳たちの動きや、報道管制の実態も、米国の新聞やテレビで詳しく伝えられるようになった。

 米国政府もブッシュ大統領やライス国務長官が中国政府首脳に直接、哀悼や同情の意を伝達した。米空軍機は食糧や医薬品を満載して、ハワイやアラスカから中国の被災地に飛び始めた。米国の官民の強い同情と関心が四川大地震に向けられているのだ。

 そうした関心のなかでも特殊なのは、中国の軍事施設、とくに核兵器関連の施設に向けられる米国専門家たちの視線であろう。四川省はかねてから中国全土でも軍事生産施設が多く、とくに核弾頭の開発、製造では中国最大の施設を有することで知られてきたからだ。

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