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“外交弱小国”日本の安全保障を考える

第72回
民主党を分裂させかねないクリントン、オバマの死闘

国際問題評論家 古森 義久氏
2008年4月8日

 米国大統領選挙の民主党候補指名争いの対決が異様な熾烈さをみせてきた。ヒラリー・クリントン候補と、バラク・オバマ候補と、いずれも指名されれば歴史上初となる女性と黒人の候補が党の最終の認知を求め、全米で激しい闘いを展開する。このままだと一体、民主党の指名争いはどうなるのか。一体、どちらが勝つのか。その激戦は共和党側のジョン・マケイン候補を相手とする本番選挙にはどんな影響を与えるのか。

 昨年後半まで各種の世論調査の支持率では圧倒的優位を誇ってきたヒラリー・クリントン上院議員が少しずつ微妙に、やがて着実かつ明白に、バラク・オバマ上院議員に支持率で追いつかれ、やがて今年に入っての各州での党員集会や予備選挙で追いつかれ、追い抜かれていった経緯は、米国の大統領選の歴史でも、きわめて異色な政治大ドラマとなった。

 4月上旬の時点でのこの争いでは、オバマ候補がすでに獲得を確実にした代議員の数でわずかながらリードしている。わずかとはいえ、この差の逆転はクリントン候補にとって、非常に難しいというのが政治や選挙の専門家たちの観測である。ところが同じ観測では、オバマ候補が指名の獲得を決定的にすることも、まだまだ容易ではないというのだ。しかも不利とされるクリントン候補は撤退する気配をまったくみせていない。最後まで戦うという徹底抗戦の構えなのである。このところの両陣営の激烈な攻撃ぶりをみると、デスマッチという言葉までが連想されてくる。

 民主党の指名候補は8月末にコロラド州デンバーで開かれる同党の全国大会で正式に決められる。各州からの代議員の投票で決まるのが原則である。この代議員総数は4049だからその過半数となる2025以上を獲得した候補が指名を受けることとなる。この代議員の大多数、5分の4ほどはすでに各州の予備選や党員集会で一定候補への支持を表明した一般代議員たちである。そうした一定候補支持の一般代議員を選ぶのが予備選でもあるわけだ。しかし残りの代議員800人ほどは、スーパー・デリゲート(特別代議員)と呼ばれ、州レベルだけでなく、民主党政権の元閣僚など一定の政治業績を残した人物が任命されている。この特別代議員も一般代議員と同じく全国大会では指名候補に一票を投じる権利がある。

 さてこれまでに確実となった両候補の代議員数は、クリントン候補は1486人、オバマ候補は1629人だとされる。このうちもう絶対に揺るがない一般代議員の比だと、クリントン1243、オバマ1414となる。一般代議員は各州でどの候補を支持するかを宣言したうえで全国大会へと送られるから、全国大会での支持候補がだれかはもう決まっているし、変更はできない。一方、特別代議員はそうした拘束はない。全国大会の場にのぞんでからでも自分の自由意思で投票できるのだが、事前の段階で自分の支持候補がだれかを表明する特別代議員も多いのだという。この特別代議員ではクリントン候補は243、オバマ候補は215とされる。要するに大接戦なのである。

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