日本との関係にも言及する報告書
同報告書は米国政府がそもそも北朝鮮をなぜ「テロ支援国家」に指定したかの経緯を説明し、その指定の解除のためには「日本人の拉致事件の解決あるいは進展」が前提条件の一つになっていたことをも詳述していた。だが2007年に入ってから北朝鮮の核兵器開発を防ぐための6カ国協議や米朝協議の結果、米国政府は国務省主導で日本人拉致に関する前提条件を引っ込め、日本人拉致を切り離すようになったのだという。
米国政府自身が明確に「前提条件」と宣言していた日本人拉致の解決をいまや北朝鮮の「テロ支援国家」指定とは無関係だとする立場へと変転したことになる。北朝鮮の「核無能力化」と引き換え、ということである。しかし皮肉なことに、北朝鮮はその「核無能力化」や同時に公約した「核計画の全面申告」を果たしてはいない。こうした状況を同報告書は詳しく述べていた。
議会調査局のこの「北朝鮮=テロリズム・リストからの解除?」報告書はさらに日本にとって注視すべき点を強調していた。以下の記述である。
「もし米国政府が日本人拉致の解決や解決への前進を無視して、北朝鮮を『テロ支援国家』リストから外した場合、日本政府はその解除の動きに既に反発しているが、いざ解除となれば、さらに反発を強め、日米関係を傷つけることになる」
日本の反発は米国政府として考慮すべき重要な点だという指摘だった。この点をブッシュ政権の国務省がどの程度まで重視するかが注目される。
ただし、この報告書の最大要素は、あくまで北朝鮮がここ数年来、そして現在にいたるまで「ヒズボラ」と「タミル・イーラム解放のトラ」という米国政府自身がテロ組織と認定した相手に武器類を供与してきた、という情報の提示である。
米国政府はそれでもなお北朝鮮を「テロ支援国家」の指定から解除するという権限は有しているわけだが、この報告書の指摘はその解除へのハードルをまた一段と高くした、とみることはできる。つまり米国の北朝鮮への融和にまた一つ、抑制のブレーキがかけられた、ということである。
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