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“外交弱小国”日本の安全保障を考える

第63回
慰安婦決議、カナダやオランダも ~ やまない日本糾弾

国際問題評論家 古森 義久氏
2007年12月4日

 日本にとって屈辱的な慰安婦決議案がまた外国の議会で採択された。今度はカナダの連邦議会の下院である。11月28日のことだった。米国と同様、カナダは第二次大戦中、日本軍の慰安婦の慣行に直接、なんのかかわりもなかった。であるのに、戦争が終わって60年以上が過ぎた今、そのカナダで、なぜ慰安婦に関しての日本糾弾の動きが唐突な形で起きてくるのか。

 その背後には米国での慰安婦決議の推進の影の主役だった中国系組織の、カナダにおける執拗で精力的な動きが存在する。日本を終始、標的にしてグローバルな活動を恒常的に続けるこの中国系組織の活動に光を当てると、いわゆる慰安婦問題の真の構造が浮かび上がってくる。

 米国議会の下院が同種の決議案を採択したのは今年7月末だった(本コラム第55回:「慰安婦決議の推進役がねらう次の対日攻撃」参照)。当時の日本の首相は安倍晋三氏である。

 安倍氏は従来、慰安婦問題に対してはわりに強い姿勢をとっていた。日本の非を事実調査の徹底を待たずにあっさりと認めて謝ってしまった「河野談話」には批判的だった。米国議会で慰安婦に関連して日本に謝罪を求める決議案が出されてすぐの今年春、当時の安倍首相は、いわゆる「狭義の強制性」を否定した。その否定が「日本軍の関与までを否定した」という米国大手紙などの虚報となって米側に伝わり、議会などでの反発を強めた。

 その「安倍発言報道」が決議案の可決を実際に推進してしまったのかどうか。この点の議論はひとまずおいても、慰安婦問題で日本を非難する側にとって、安倍氏の態度は攻めねばならない標的だったとはいえよう。

 しかし、その安倍晋三氏はもう日本の首相の座から去ったのである。いまの首相は周知のように、慰安婦問題など歴史案件に対しては中国や韓国からの非難に反発することもないソフトな福田康夫氏なのだ。「河野談話」の継承や保持にはむしろ積極的な日本の政治家だといえよう。外国の慰安婦問題糾弾勢力からみれば、日本の歴代首相のうちでも、理解のある、謝罪派の首相だともいえる。

 だがそんな福田政権に対しても、カナダ議会は容赦なく非難の決議を可決してしまった。

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