第61回
マスコミが書かない「イラク情勢の好転」
国際問題評論家 古森 義久氏
2007年11月6日
「イラク情勢が好転してきた」「イラクでテロが減り、治安が改善されてきた」――。
こうした記述だけでも奇異に思う読者がいることだろう。それほど米国によるイラクの治安回復と民主化の作業は「もう成功の見込みなし」という審判が確定していた。「イラクは内戦が激化し、民主化は絶望的」というのが大多数の見方でもあった。とくに日本国内でその傾向が顕著だった。だからこそ、イラクの治安が目にみえてよくなったという情報は、なかなか日本側では広まらないのだろう。
日本の大手マスコミを見回しても、イラク情勢が米国や現イラク政府にとって、よい方向へと改善されたことを正面から報道したのは日本経済新聞11月2日付朝刊国際面の「イラク 民間人死傷者、減少続く」という見出しの記事など、ごく少数である。この記事は「10月今年最少 米掃討や民兵停戦奏功」という副見出しもついていた。
今のイラクの治安状況が好転してきたことは、どうみても事実である。この事実の認識と米国の対イラク政策への批判とを混合させてはならないだろう。米国の政策やイラク政府の政策をどのように非難するにせよ、現地の情勢の客観的な把握がまず前提となろう。
「情勢が好転するはずがない」という思いこみから、現実の情勢の好転を見ようとしないのでは、砂に頭を突っ込んだダチョウの愚につながりかねない。そんなことを考えながら、今ワシントンで急速に広がっているイラク情勢への新しい認識について報告することとした。
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