中国最重視、日本軽視 ―― の構図
「我々米国と中国との関係は今世紀の世界において最も重要な二国間関係である。米国と中国は非常に異なる価値観と政治システムとを有し、貿易から人権、宗教の自由、労働慣行、チベットまで、意見が根本から異なることは多いのだが、なお米中両国が歩調を合わせて達成できること、達成せねばならないことは、多々ある。中国の支援は北朝鮮の核関連施設を無能力化する合意の成立に重要だった。我々はこの枠組みを北東アジア安全保障の組織体の確立へと構築していくべきだ」
ヒラリー女史は米国にとって中国との関係が21世紀の世界での多数ある二国間関係のなかでも最重要だと断言しているわけだ。そして我が「日本」がその中国の付け足しのように登場する。その部分の記述を紹介しよう。
「しかし中国の台頭は新たな挑戦をも生んでいる。中国の人たちは自国の経済急成長がものすごい環境破壊の代償を払って達成されていることをやっと悟るようになった。米国は中国と日本とともに、新しいクリーンなエネルギー資源を開発し、より大幅なエネルギー効率化を促進し、気候変化と戦うための共同プログラムを請け負うべきだ」
以上に出てくる「日本」がこの論文での日本への言及の二度目なのである。明らかに米中両国への補足、あるいは脚注に近い位置づけだといえよう。しかも日本は米中両国主体のエネルギー開発などの共同事業に加わるべきだ、というのである。そんな提案の行間には、日本にまた資金面の寄与をしてほしいという期待がにじんでいる。いずれにしても、「日本」はここでも末端の端役でしかない、という感じなのである。
以上のヒラリー女史の外交政策論文では、中国を最重視、日本を軽視あるいは無視――という構図がどうしても大きく浮かび上がってくるようなのだ。
論文は単なる論文、現実の大統領としての政策はまた別だろうという見方も当然あるだろう。だが大統領選キャンペーンでの民主党の先頭走者となったヒラリー・クリントン上院議員が初めて発表した外交政策論文は、まともに読めば、こうした読み方となることもまた事実なのである。
あなたのご意見をコメントやトラックバックでお寄せください
この連載のバックナンバー
- 北朝鮮のミサイル発射があらわにした日米同盟の希薄化 (2009/04/14)
- 間近に迫るテポドン2号の脅威を読み解く (2009/03/31)
- 保守派の論客、ラッシュ・リムボウを知っているか (2009/03/17)
- 社会主義色が濃厚になったオバマ大統領の施策 (2009/03/03)
- ヒラリー訪日の意味 (2009/02/17)

