第60回
日本軽視のヒラリー論文
国際問題評論家 古森 義久氏
2007年10月23日
米国の大統領選挙キャンペーンは本番の投票まではまだ1年以上もあるのに、熱気をますます強めてきた。その熱気を高める最大の理由の一つは、民主党女性候補のヒラリー・クリントン上院議員に関する話題の広がりだといえよう。
ヒラリー女史の言動に対しては、彼女を支持する側も、反対する側も、とにかく関心を熱くしている、という感じなのである。マスコミのヒラリー報道も大々的である。ただし一般の熱い関心が先なのか、それともマスコミの大報道が先なのか、ニワトリとタマゴの議論にも似てくる。
とにかく米国のマスコミは、自主的になのか、あるいは一般の熱い関心に応じてなのか、異様なほどのハイライトをヒラリー女史に浴びせている。このマスコミの状況は共和党側からは「従来からの民主党びいきの大手マスコミは、みなこぞってヒラリー女史ばかりを大きく扱い、共和党側の候補をことさら小さく扱っている」という批判が絶えないほどである。たしかにニューヨーク・タイムズ、ワシントン・ポスト、CBSテレビ、CNNテレビといった大手マスコミは、年来の大統領選挙では社論としていつも民主党候補への支持を明確に打ち出すほど、党派性をはっきりとさせている。
いずれにしても、いまの米国大統領選キャンペーンでヒラリー・クリントン上院議員の動向が最も大きな話題となっていることは、客観的な事実なのである。そしてヒラリー女史が各種世論調査によると、民主党側の各候補のなかでは第2位以下を大きく引き離した人気第一のフロント・ランナー(先頭走者)となっていることも、事実である。
そのヒラリー女史が10月中旬、外交政策に関する長文の論文を発表した。自分が大統領になった場合、米国の外交政策はどのように進めるか、という概略を述べた論文である。大手外交雑誌『フォーリン・アフェアーズ』の最新号に掲載された。論文のタイトルは「21世紀の安全保障と機会」だった。
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