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“外交弱小国”日本の安全保障を考える

「安定は消極性へと転落し危険へつながることも」

 オースリン氏はAEIの政策発表誌最新号に「日本の新指導者はどんな人物か?」というタイトルの論文を載せ、福田氏と福田政権について見解を述べていた。その冒頭でオースリン氏は次のように書く。

 「意味ある政策を説明し実行するという点で福田氏の能力に疑問を抱く人たちは、既に次のように言明するようになった。『福田新首相は暫定的な首相であり、日本は政治的麻痺の時期に入りつつある』と。だが現実には日本は一歩前進し、一歩横の脇道にそれた、といえるだろう。小泉純一郎氏や安倍晋三氏がみせたような大胆な外交は当面のところ棚上げとなり、国内の改革策がどう進むかも分からなくなったのだ。福田氏は首相になるために小泉氏や安倍氏のように自分の思考や政策を一般に広くアピールする必要がなかった。だから福田氏は首相になってからも、明確な前進を達成しなくてもよい、ということになる」

 要するに、福田氏は個人の資質は別にしても、首相になった経緯だけからみて、明確で大胆な政策を打ち出す必要がない、と言うのである。

 オースリン氏は福田氏が特に安全保障の領域で態度が不明確だと批判する。日本はいま軍拡を進める中国、核兵器の開発になお必死になる北朝鮮、台湾海峡を隔ててなお対立する中国と台湾と、安全保障では険しい環境に直面しているという。

 「福田氏はこの険しい環境から生まれる日本側の懸念にどう対応するのか。思い切った政策をとるには、日本国内での自分自身への支持を堅固にすることが前提となる。しかし福田氏が安全保障の主要案件について、どんな見解を有しているのかが明確ではない。福田首相はミサイル防衛の開発を続けるのか。日本の防衛能力を強化することを決意しているのか」

 オースリン氏はこうした疑問を提起することで福田氏の安全保障観への重大な懐疑を表明しているのだといえよう。特にオースリン氏は中国の大軍拡に対する福田首相の政策に不安を感じることを隠していない。そして福田氏の核心部分をかなり辛辣に論評する。

 「福田氏は日本の国内の改革と対外的な積極外交のペースが速まることを望む人たちを失望させるだろう。だが福田氏は自分が暫定政権の首相ではないことを証明せねばならない。自分自身とその政策を明確に定義づけねばならない。日本ではいま安定がなによりも望まれるのかもしれないが、危険な変化が絶えることのない現実の世界では、安定は消極性へと転落し、ひいては危険へとつながることも多いのだ」

 オースリン氏も、同氏の所属するAEIも、ともに共和党のブッシュ政権には近い距離にある。オースリン氏がブッシュ政権の本音を代弁するというわけではないにせよ、対日政策に関しての氏の見解は基本的には同政権のそれから遠く離れることはない。このことからも、ブッシュ政権の周辺では、福田新首相の対中政策や対米政策が微妙な懸念を生んでいることは確実だといえるだろう。

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