「ブッシュ=チェイニーもどき」というレッテル
オバマ議員はさらにヒラリー批判をエスカレートさせ、次のようにも述べた。「もし外交を基本的に変えたいならば、敵と話すことを恐れてはならないでしょう。わたしはブッシュ=チェイニー外交の継続は望みません。ブッシュ=チェイニーもどきも望みません」
この言葉も明らかにヒラリー女史に向けられていた。ブッシュ政権の提案に賛成したことをとらえて、「ブッシュ=チェイニーもどき」と揶揄するのだろう。この点はたしかにヒラリー女史の弱点であろう。少なくともブッシュ大統領の対イラク政策をこれから非難していくのならば、5年前にその政策に賛成票を投じていたことは、おかしいではないか、という理屈になる。
ヒラリー女史はオバマ議員へのさらなる反撃として次のように語った。「わたしもずいぶんといろいろなレッテルを貼られてきましたが、ジョージ・ブッシュとかディック・チェイニーと呼ばれたことはありません。『希望の政治』は一体、どうなったのか、自問する必要がありますね」。この「希望の政治」というのはオバマ議員の著書のタイトルをもじっているのだった。これまた辛辣な反撃だった。
ヒラリー、オバマ両候補のこうした激しいやり取りをみると、今回の大統領選の民主党側の特徴がいろいろと分かってくる。特に外交ではオバマ氏はいかにも新人らしく、従来の枠を破ってでも、「世界の悪人」風にされてきた国家の指導者たちにもすぐに会うという。年来の対外戦略や安全保障の土台をがらりと崩してでも、新しい成果を目指そうという大胆な姿勢、リスクに満ち満ちた構えだといえる。日本からみて懸念されるのは、そうした構えのなかに、年来の同盟関係の重視という基本をどう織り込んでいくのか、見当もつかないことだろう。
一方、ヒラリー女史はいやでも上院議員としてのイラク攻撃への賛成表明を何度も何度も、問い詰められていくだろう。だがヒラリー女史の外交の基本は意外と保守志向をひそませ、無法国家やテロ支援国家には断固、強い姿勢で対峙していくことにもなりそうだ。少なくとも現在はそういう構えを強調している。この点も「女性は安全保障やテロへの対応が男性よりも軟弱となるのでは」という伝統的な懐疑への反応から、ことさらに「強さ」を印象づけようとしているのかもしれない。
いずれにしてもヒラリー女史もオバマ議員も、民主党リベラルとみなされながら、外交ではかなり異なった政策姿勢をみせていくような予感がする。
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