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“外交弱小国”日本の安全保障を考える

第54回
民主党のヒラリーとオバマ、外交政策で激突

国際問題評論家 古森 義久氏
2007年7月31日

 ますます熱気を高める米国の大統領選挙キャンペーンで民主党の先頭走者のヒラリー・クリントン上院議員と、肉薄するバラク・オバマ上院議員の二人がついに激突した。外交政策を巡る意見の衝突だから、我が日本にとっても軽視はできないが、一方、この二人が中国への姿勢では歩調を合わせる側面もあり、錯綜した軌跡を描いている。

 最初の舞台は7月23日夜、南部のサウスカロライナ州チャールストンでの討論会だった。この討論会はCNNテレビと新興の動画サイトの「YouTube」の共催だった。

 主催者側からの外交に関する質問が放たれた。「もし大統領となった場合、最初の1年間にイラン、シリア、ベネズエラ、キューバ、北朝鮮などの指導者とそれぞれ個別に、なんの前提条件も付けず、ワシントンでも他の場所でも、会談する気がありますか」

 難問だといえよう。これらの国はみな反米あるいは無法とされる国家だからだ。北朝鮮の金正日総書記の米国への傲慢な態度は周知ではあるが、他の諸国もブッシュ大統領を悪魔呼ばわりしたチャベス大統領が代表するベネズエラをはじめ、米国への敵対姿勢ではいずれも後れを取らない。イランや北朝鮮は米国の意向を真正面から踏みにじって核兵器を開発している危険な国でもある。

 まずオバマ議員が滑らかな口調で答えた。「はい、わたしは会談します。一定の諸国と話をしないという考えは、それら諸国を罰するということですね。これは現政権の主要な外交原則であり、バカげています」

 会場は一瞬、沈黙した。いささかびっくり、ということだろう。チャベス、金正日、そしてキューバのカストロ首相など、いずれも日ごろから米国への悪口雑言を平然とぶつけてくる指導者たちである。しかも大量破壊兵器の拡散や国際テロリズム支援など、その実際の行動も国際規範からは逸脱している。超大国の米国の大統領がなんの条件も付けずに会談するという相手ではないだろう。そうした人物たちにオバマ氏は米国大統領としてすぐにでも会うのだと、ためらわずに言明したのだ。

 例えば日本にしても、2009年1月に登場してくる米国の新大統領が同盟国の日本への影響も考えず、「前提条件を付けないで」金正日総書記と二者会談をすると宣言したら、大いにとまどうだろう。日本が北朝鮮と拉致問題などを巡ってなお対立状態にあり、拉致の解決など難題の解決を厳しく求めているときに、米国大統領が頭越しに北朝鮮との対話に踏み切れば、「何だ」ということになる。

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