ウォルフォウィッツ氏擁護論が次々と
こうした実態を見てくると、ウォルフォウィッツ氏の「情実昇給疑惑」も印象が異なってくる。しかも米側では同氏にとっては政治的に敵にあたる民主党側からも擁護論が出てきた。
カーター政権下で国連大使を務めたアンドリュー・ヤング元アトランタ市長がワシントン・ポストの4月30日付に「世界銀行にとって適切な男」という題の寄稿論文を載せ、ウォルフォウィッツ氏を全面的に擁護した。「もし欧州各国が同氏の国防副長官としての言動への報復のつもりで、今、氏を非難しているとすれば、大きな間違いだ」とする同論文は、同氏のアフリカでの貧困や疫病の追放作戦への高い評価を表明していた。
この評価に呼応するかのようにナイジェリアの腐敗追放にあたる「ナイジェリア経済金融犯罪委員会」のヌフ・リバヅ委員長がニューヨーク・タイムズ5月1日の寄稿でやはりウォルフォウィッツ総裁への支持論を発表した。ナイジェリア人のリバヅ氏は「ウォルフォウィッツ氏はなぜ留任すべきか」という題の寄稿論文で、同総裁の主唱による最近の世銀の汚職追放運動がナイジェリアの汚職追放に大きく貢献した実態を詳しく発表した。
同じアフリカではガーナ出身の経済学者ジョージ・アビテイ氏がウォールストリート・ジャーナル5月4日付への寄稿で、世銀によるこれまでのアフリカへの経済援助の巨大な部分が汚職により浪費された実例をいくつも挙げて、ウォルフォウィッツ総裁の腐敗追放活動を歓迎していた。この寄稿論文は、同総裁がもし今回の事件で駆逐されれば、せっかくの腐敗追放の活動がまた無に帰すだろうとも述べて、「世銀での真のスキャンダルとは、ウォルフォウィッツ氏のいわゆる情実昇給疑惑により、今、世銀で緊急に必要とされている内部の腐敗追放作業が阻まれてしまうことである」と断じていた。
世銀内部の情実人事や不透明性の代表例としてはウォールストリート・ジャーナル5月1日付のコラム記事が中国人の章晟曼氏のケースを伝えていた。章氏は2004年ごろまで世銀の専務理事だった。同氏は当初は中国政府を代表する理事として世銀に入り、当時の総裁のウオルフェンソン氏に気に入られ、副総裁から専務理事へと抜擢された。
だがこのコラム記事によると、章氏の夫人も世銀勤務で、当初は年収5万2000ドルの「レベルD」の職員だったが、きわめて短期間のうちに年収12万3000ドルの「レベルGG」へと昇進してしまった。今のウォルフォウィッツ総裁の例に比べれば、ずっと露骨な「情実昇給」だというのである。
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