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“外交弱小国”日本の安全保障を考える

第48回
世界銀行の伏魔殿ぶり

国際問題評論家 古森 義久氏
2007年5月8日

 世界銀行総裁の米国人ポール・ウォルフォウィッツ氏が不正な人事処遇の疑惑を問われ、辞任までも求められるようになった。その進退は5月9日に開かれる世銀理事会で決まる見通しも強くなった。

 疑惑の発端は、この敵の多い63歳の官僚学者のきわめて生臭い女性関係にかかわることだが、事態の紛糾が波紋を広げるうちに、世界銀行という国際機関の伏魔殿風のどろどろした体質までがあらわにされてきた。

 ウォルフォウィッツ氏といえば、ブッシュ政権で長年、国防副長官を務め、イラクのサダム・フセイン政権に対してその打倒の軍事作戦を強く主張した保守派の重鎮である。反対派のリベラル勢力からは「ネオコン」という侮蔑的なレッテルを張られ、憎まれてきた。

 ウォルフォウィッツ氏は本来はシカゴ大学出身の国際政治学者である。だが先代ブッシュ政権に起用され、外交政策形成の中枢となる国務省の政策企画局長や日本をも含む東アジア担当の国務次官補、インドネシア駐在大使を歴任した。民主党のクリントン政権の誕生で野に下ってからは、日本にもよく知られたジョンズホプキンス大学高等国際問題研究所(SAIS)の学長をも務めた。

 そのウォルフォウィッツ氏は2005年5月に世界銀行の総裁に就任した。ブッシュ大統領に長年の功績を評価された形で任命された結果だった。同総裁ポストは年来、慣例として拠出金額の最も多い米国に与えられる。今回のスキャンダル風の事件は、妻とは別居してきた同氏が世銀の幹部職員の女性と愛人同士として交際してきたことから始まった。この女性はチュニジア出身、英国国籍、53歳のシャハ・リザさんである。イスラム教徒で、世界銀行でもイスラム圏の人権擁護の援助活動に長年、かかわってきた。

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